解説
歌の練習をしている人が「上手に歌えたらいいのに」と言いたいとき、英語では次のように言えます。
- I wish I could sing well. (上手に歌えたらいいのに。)
wish は「願う」という意味の動詞です。本当は上手に歌えないけれど、歌えたらいいな、と願っている文です。
はじめに 前回の if の文と、今回の I wish の文
前回は、if を使って「もし〜なら、…するのに」と想像する言い方を見ました。今回の I wish の文は、if を使わずに「〜ならいいのに」と願う言い方です。
このように、事実ではなく、頭の中で想像したり願ったりすることとして言う言い方を仮定法といいます。wish の後ろの動詞の形、be動詞のときの形、hope との使い分けの順に、例文で確かめていきます。
1wish の後ろの動詞の形 今のことなら過去形にする
最初の文の、本当のところを英語で言うと、次のようになります。
- I can't sing well. (わたしは上手に歌えません。)
これが現実です。現実とはちがうことや、起こりそうにないことを「〜ならいいのに」と願うときに、I wish の文を使います。
I wish の後ろには、文が1つ続きます。I wish の wish はそのままで、形が変わるのは wish の後ろの文の動詞です。「〜できたらいいのに」と言いたいときは、can の過去形の could を使って、I wish I could とします。
もう1つ、雨がふってきたのに傘がない、という場面の文を見てみます。
- I wish I had an umbrella. (傘を持っていたらいいのに。)
- I don't have an umbrella. (わたしは傘を持っていません。)
上が願う文、下が現実の文です。had は have の過去形です。今のことを「〜ならいいのに」と言うとき、wish の後ろの文の動詞は過去形にします。
ただし、wish の後ろで過去形を使っていても、過去の話ではありません。傘がなくて困っているのは、今のことです。前回の if の部分と同じように、wish の後ろも過去形になる、と覚えておいてください。
もう1つ大事なのが、could の後ろの動詞の形です。could は過去形ですが、could の後ろの動詞は、形を変えない原形のままにします。I wish I could sing well. の sing は原形です。
2be動詞のときの形 主語が I でも were
次は、be動詞のときです。数学のテストが返ってきた人が、こう言っている場面です。
- I wish I were good at math. (数学が得意だったらいいのに。)
- I'm not good at math. (わたしは数学が得意ではありません。)
下が現実の文です。ふつうの文なら、主語が I のときの be動詞は am ですね。でも、上の wish の後ろでは were になっています。wish の後ろでも、be動詞は、主語が I でも were を使います。今日はこの形で覚えてください。
wish の後ろの文の主語は、I でなくてもかまいません。
- I wish my house were near the station. (家が駅の近くだったらいいのに。)
この文の wish の後ろの主語は my house で、1つのものですが、be動詞は were を使っています。前回の if の後ろと同じように、were になる、と覚えておくと整理しやすくなります。
3hope との使い分け 起こるかもしれないなら hope、現実とちがうなら wish
hope は中2で習った、「〜だといいな」と望むときの言葉です。パーティーに友だちを誘っていて、友だちがまだ予定を考えている場面なら、次のように言います。
- I hope you can come to my party. (あなたがわたしのパーティーに来られるといいな。)
友だちは本当に来られるかもしれないので、hope を使っています。hope の後ろは、ふつうの文の形のまま、can を使っています。
では、友だちがその日は旅行で来られない、と分かったときはどうでしょう。
- I wish you could come to my party. (あなたがわたしのパーティーに来られたらいいのに。)
本当は来られないと分かっているので、現実とはちがうことを願う wish を使います。wish のほうは、can が could になっています。
本当に起こるかもしれないことを望むときは hope、現実とはちがうことや、起こりそうにないことを願うときは wish を使います。これから起こるかもしれないことを望むときも、wish ではなく hope です。
hope の後ろは、ふつうの文の形のままです。wish のように、現実とちがうことを表すために、過去形に変えることはしません。どちらの和訳にも「いい」が入るので、和訳の言葉ではなく、本当に起こるかもしれないかどうかで選んでください。
まとめ 今のことを願う wish の後ろは過去形、be動詞は were
今のことを願う I wish の文は、次の順で組み立てます。
I wish → 主語 → 過去形(can なら could +動詞の原形、have なら had、be動詞なら were)
過去形を使っていても、過去の話ではなく、今の話です。be動詞のときは、wish の後ろでも、主語が I でも were を使います。本当に起こるかもしれないことを望むときは hope、現実とちがうことを願うときは wish でした。
よくある間違いは、wish の後ろを can や am のまま、現在形にしてしまうことです。今のことを願う wish の後ろは過去形、と確かめるクセをつけてください。前回の if を使った仮定法とあわせて見ておくと、2つの形が似ていることがよく分かります。
I wish の文の形のまとめ
部分 | 今日の形 | 例文の中の形 |
|---|---|---|
I wish の wish | そのまま | I wish |
wish の後ろ(〜できたらいいのに) | could +動詞の原形(can の過去形) | I could sing・you could come |
wish の後ろ(一般動詞) | 過去形 | I had(have の過去形) |
wish の後ろ(be動詞) | were(主語が I でも my house でも) | I were・my house were |
hope の後ろ | ふつうの文の形のまま | you can come |
用語のまとめ
用語 | 種類 | 意味 |
|---|---|---|
仮定法 | 文法の用語 | 事実ではなく、頭の中で想像したり願ったりすることとして言う言い方。今日は I wish を使って「〜ならいいのに」と願う形 |
I wish | 決まった言い方 | 「〜ならいいのに」。現実とはちがうことや、起こりそうにないことを願う |
wish | 語 | 「願う」という意味の動詞。I wish の wish はそのままで、後ろの文の動詞の形が変わる |
過去形 | 文法の用語 | 今のことを「〜ならいいのに」と言うとき、wish の後ろの文の動詞を過去形にする。過去の話ではない |
could | 語 | can の過去形。I wish I could で「〜できたらいいのに」 |
had | 語 | have の過去形。I wish I had で「〜を持っていたらいいのに」 |
were | 語 | wish の後ろの be動詞。主語が I でも were を使う |
原形 | 文法の用語 | 形を変えない動詞のもとの形。could の後ろの動詞は原形 |
hope | 語 | 「〜だといいな」と望むときの言葉。本当に起こるかもしれないことに使い、後ろはふつうの文の形のまま |
現在形 | 文法の用語 | 今のことを願う wish の後ろでは、can や am のような現在形のままにしない |
よくある間違い
今のことを「〜できたらいいのに」と願うときは、wish の後ろの can を could にします。 wish の後ろの文の動詞は過去形にするので、can のままにはしません。
- × I wish I can sing well.
- ○ I wish I could sing well.
could の後ろの動詞は、過去形にせず、原形のままにします。 could は過去形ですが、後ろの sing は形を変えません。
- × I wish I could sang well.
- ○ I wish I could sing well.
本当に起こるかもしれないことを望むときは、wish ではなく hope を使います。 和訳の言葉ではなく、本当に起こるかもしれないかどうかで選びます。友だちが来られるかもしれないなら hope、来られないと分かっているなら wish を使います。
プリントと動画で確認しよう
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wish の後ろの動詞の形や hope との使い分けを例文といっしょにもう一度確かめたいときは、アニメーション編の動画を見てください。
重要語句 I wish、仮定法、could、were、過去形