中学理科・生物・生物のからだのつくりとはたらき・No.25

心臓と血液の循環

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解説

肺動脈を流れているのは、動脈血と静脈血のどちらでしょうか。定期テストで点を落としやすいのが、こうした名前のひっかけです。心臓のつくり、血管、血液の順に整理していくと、名前に引っぱられずに答えられます。

心臓は血液のポンプ 拍動と脈拍

小学校で、手首に指を当てて脈を数えたことがあると思います。あのトクトクという動きのもとをたどると、心臓に行き着きます。

心臓は筋肉でできた器官で、大きさは自分のにぎりこぶしくらい。胸の真ん中より少し左にあります。縮んだりゆるんだりをくり返して、もどってきた血液をまた全身へ送り出す、血液のポンプです。

この縮んだりゆるんだりする動きを拍動といいます。拍動が動脈に伝わって、手首などでふれてわかるものが脈拍です。心臓そのものの動きが拍動、手首で感じるのが脈拍、という区別になります。

おとながじっとしているとき、心臓は1分間に60〜80回くらい拍動し、1分間に5リットルくらいの血液を送り出しています。中学生だと、これより少し多い人もいます。どちらもイメージをつかむための数字で、テストで答えさせるものではありません。

1心臓のつくり 心房と心室・右と左・弁

心臓の中は4つの部屋に分かれています。上の2つが心房、下の2つが心室です。

心房は、静脈からもどってきた血液を受け入れて、下の心室へ送る部屋です。心室は厚い筋肉の壁でできていて、血液を心臓の外の動脈へ送り出します。心房は受け入れる部屋、心室は送り出す部屋で、血液は心臓の中を上から下へ、心房から心室へと流れます。

次は左右です。教科書やテストに出てくる心臓の図は、向かい合った人の心臓を前から見た図になっています。だから図の左側が体の右側です。

図の左上が右心房、左下が右心室、右上が左心房、右下が左心室です。自分の胸に手を当てて、右手の側にあるのが右心房と右心室だと体で確かめておくと、図を見ても迷いません。図の見た目のまま左右を決めると、4つとも逆になってしまいます。右側の部屋と左側の部屋は壁で仕切られていて、中の血液が混ざることはありません。

心臓には弁もあります。弁は血液の逆流を防ぐひだのようなつくりで、心房と心室の間と、心室の出口にあります。心室がぎゅっと縮むと弁が閉じるので、血液は心房のほうへもどれません。そのため、心臓の中の血液は一方通行です。弁の一つ一つの名前は、中学では覚えなくてかまいません。

4つの部屋は、壁の厚さもちがいます。左心室の壁がいちばん厚いのは、大動脈を通して全身へ血液を送り出すために、強い力がいるからです。肺へ送り出す右心室の壁は、左心室の3分の1くらいの厚さしかありません。テストでは「いちばん厚い部屋」と「その理由」がセットで問われます。

2血管と2つの循環 動脈・静脈・毛細血管と、肺循環・体循環

血管には、動脈・静脈・毛細血管の3つがあります。

動脈は、心臓から送り出される血液が流れる血管です。心臓から勢いよく押し出された血液が流れるので、壁が厚くて弾力があります。手首で感じる脈拍も、動脈で起きている動きです。

静脈は、心臓にもどる血液が流れる血管です。もどってくる血液は勢いが弱く、静脈の壁はうすくなっています。そのかわり、ところどころに弁があって、血液の逆もどりを防いでいます。血管の中で弁があるのは静脈のほうだ、という点もよく聞かれます。

動脈か静脈かは、酸素が多いか少ないかでは決めません。血管の名前は、血液の流れる向きで決まるからです。心臓から出ていく血管が動脈、心臓にもどってくる血管が静脈です。

毛細血管は、動脈と静脈をつなぐ、網の目のような細い血管です。体のすみずみに広がっていて、その壁を通して、細胞に酸素や養分をわたし、細胞から二酸化炭素などのいらないものを受け取ります。動脈の一部でも静脈の一部でもない、別の血管として覚えます。

血液は、この3種類の血管を通って、2つの道を回ります。

1つ目は、心臓から肺を通って心臓にもどる肺循環です。右心室から出た血液は、肺動脈を通って肺へ向かいます。肺の中には肺胞という小さなふくろがたくさんあり、そのまわりの毛細血管で、血液は酸素を取り入れて二酸化炭素を出します。そのあと肺静脈を通って、左心房にもどります。順に並べると、右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房です。

2つ目は、心臓から全身を通って心臓にもどる体循環です。左心房から左心室に入った血液は、大動脈で全身へ送り出されます。全身の毛細血管で細胞に酸素や養分をわたし、二酸化炭素などを受け取ったあと、大静脈を通って右心房にもどります。順に並べると、左心室→大動脈→全身→大静脈→右心房です。

2つをつなげると、右心房から右心室へ、肺を回って左心房、左心室から全身を回ってまた右心房へと、8の字の一筆書きになります。どちらの輪も、出ていくのは心室で、もどってくるのは心房です。肺循環は右心室から出て左心房へ、体循環は左心室から出て右心房へと、左右が入れかわります。右心房から始めて右心房にもどるまでを、自分の口で言えるようにしておくと順番がずれません。

3動脈血と静脈血 肺動脈と肺静脈のひっかけ

血液にも2つの名前があります。酸素を多くふくむ血液が動脈血で、色はあざやかな赤です。酸素が少なく、二酸化炭素を多くふくむ血液が静脈血で、色は暗い赤です。静脈血にも酸素はいくらか残っているので、記述問題では「少ない」「多く」という言葉で書きます。

血管とちがって、血液の名前は、酸素の量で決まるのです。名前を決めるものさしが、血管と血液で別々です。

循環の中で見ると、肺の毛細血管で酸素を取り入れたところで静脈血が動脈血に変わり、全身の毛細血管で酸素をわたしたところで動脈血が静脈血に変わります。

ここで名前がくいちがうのが、肺につながる2本の血管です。肺動脈は心臓から肺へ出ていく血管なので、名前は動脈です。けれども中を流れているのは、全身から右心房にもどってきた、酸素が少ない血液のままです。反対に肺静脈には、肺で酸素を受け取ったばかりの血液が流れています。つまり、肺動脈には静脈血、肺静脈には動脈血が流れます。

大動脈には動脈血、大静脈には静脈血が流れるので、血管と血液の名前がずれるのは肺のところだけです。心臓の中で見ると、右側の2つの部屋には静脈血、左側の2つの部屋には動脈血が入っています。

心臓の4つの部屋と、つながる血管を表にすると、こうなります。

部屋

つながる血管

血管の向き

流れる血液

右心房

大静脈

全身から心臓へもどる

静脈血

右心室

肺動脈

心臓から肺へ出ていく

静脈血

左心房

肺静脈

肺から心臓へもどる

動脈血

左心室

大動脈

心臓から全身へ出ていく

動脈血

静脈がつながるのは心房、動脈がつながるのは心室です。この表は、空らんをうめる形でそのまま出題されることがあります。酸素がいちばん多い血液が流れる血管を聞かれたら、答えは肺静脈です。肺で酸素を受け取った直後の血液が通るからです。

まとめ 心臓から出て心臓にもどる、2つの輪

血液の通り道を一本の線でたどると、こうなります。

右心房 → 右心室 → 肺動脈 → 肺(酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す) → 肺静脈 → 左心房 → 左心室 → 大動脈 → 全身(酸素や養分をわたし、二酸化炭素などを受け取る) → 大静脈 → 右心房

心臓がポンプになって、血液は肺と全身の2つの輪を回り、細胞に酸素や養分を届けて、二酸化炭素などを受け取ってきます。血管の名前は向き、血液の名前は酸素の量。この2つを分けて考えれば、肺動脈と肺静脈のひっかけにも落ち着いて答えられます。

血液の流れる順路のまとめ

循環

出ていく部屋

出ていく血管

通る所でのやりとり

もどる血管

もどる部屋

血液の変化

肺循環

右心室

肺動脈(静脈血)

肺で酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す

肺静脈(動脈血)

左心房

静脈血 → 動脈血

体循環

左心室

大動脈(動脈血)

全身で酸素や養分をわたし、二酸化炭素などを受け取る

大静脈(静脈血)

右心房

動脈血 → 静脈血

用語のまとめ

用語

種類

意味

心臓

器官

筋肉でできた、血液を全身に送り出すポンプ。にぎりこぶしくらいの大きさ

拍動

動き

心臓が規則正しく縮んだりゆるんだりする動き

脈拍

動き

拍動が動脈に伝わったもの。手首などでふれてわかる

心房

部屋

心臓の上の2つの部屋。もどってきた血液を受け入れる

心室

部屋

心臓の下の2つの部屋。厚い筋肉の壁で、血液を送り出す

右心房

部屋

体の右側の上の部屋。大静脈から静脈血がもどってくる

右心室

部屋

体の右側の下の部屋。肺動脈へ静脈血を送り出す

左心房

部屋

体の左側の上の部屋。肺静脈から動脈血がもどってくる

左心室

部屋

体の左側の下の部屋。大動脈へ動脈血を送り出す。壁がいちばん厚い

弁

つくり

血液の逆流を防ぐつくり。心房と心室の間・心室の出口と、静脈にある

動脈

血管

心臓から送り出される血液が流れる血管。壁が厚く、弾力がある

静脈

血管

心臓にもどる血液が流れる血管。壁がうすく、ところどころに弁がある

毛細血管

血管

動脈と静脈をつなぐ、網の目のような細い血管。細胞と物質をやりとりする

肺動脈

血管

右心室から肺へ向かう血管。中を流れるのは静脈血

肺静脈

血管

肺から左心房へもどる血管。中を流れるのは動脈血

大動脈

血管

左心室から全身へ向かう血管。中を流れるのは動脈血

大静脈

血管

全身から右心房へもどる血管。中を流れるのは静脈血

動脈血

血液

酸素を多くふくむ血液。あざやかな赤色

静脈血

血液

酸素が少なく、二酸化炭素を多くふくむ血液。暗い赤色

肺循環

循環

右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房と回る血液の流れ

体循環

循環

左心室→大動脈→全身→大静脈→右心房と回る血液の流れ

よくある間違い

心臓の図の左右は、体の左右です。 図は向かい合った人の心臓を前から見ているので、図の左側にあるのが右心房と右心室です。部屋の名前を答える前に、図のどちらが体の右かを先に決めます。

肺動脈を流れるのは静脈血、肺静脈を流れるのは動脈血です。 血管の名前は向きで、血液の名前は酸素の量で決まります。名前の「動脈」「静脈」の部分だけを見て血液を選ぶ問題は、ここがひっかけになります。

動脈と静脈の意味は、向きで書きます。 動脈は「心臓から送り出される血液が流れる血管」、静脈は「心臓にもどる血液が流れる血管」です。酸素の多い少ないは、動脈血・静脈血の説明で使う言葉です。

動脈は血管、動脈血は血液です。 問題文が血管を聞いているのか、血液を聞いているのかを、答える前に読み分けます。

心房は受け入れる部屋、心室は送り出す部屋です。 血液は心房から心室へ、上から下へと流れます。役割を入れかえて覚えると、循環の順路が全部ずれてしまいます。

肺循環は右心室から、体循環は左心室から出発します。 どちらも出ていくのは心室、もどるのは心房で、肺循環は左心房へ、体循環は右心房へもどります。

壁がいちばん厚い部屋は左心室です。 全身へ血液を送り出すので、強い力がいるからです。記述問題では、この理由までセットで書けるようにします。

血管の中で弁があるのは静脈です。 心臓の中にも、心房と心室の間と心室の出口に弁があります。

静脈血は「酸素が少なく、二酸化炭素を多くふくむ血液」です。 記述では「少ない」「多く」をそのまま使って書きます。色は暗い赤です。

肺で取り入れるのは酸素、出すのは二酸化炭素です。 全身の毛細血管では反対に、細胞へ酸素をわたし、二酸化炭素などを受け取ります。

毛細血管は、動脈と静脈をつなぐ別の血管です。 動脈の一部や静脈の一部として答えないようにします。

プリントと動画で確認しよう

このテーマの単語テストと問題集は、下のボタンからダウンロードできます。どちらも答えと解説がついています。

心臓のつくりと循環の順路をざっと確かめたいときはアニメーション編を、壁の厚さや弁がある理由までくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください。

重要語句 心房、心室、動脈、静脈、肺循環

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