中学理科・生物・生命の連続性・No.36

遺伝の計算(子と孫の比)

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解説

エンドウの丸い種子としわのある種子をかけ合わせると、子はみんな丸くなり、孫ではしわが4分の1ほどもどってきます。メンデルが見つけたこの結果は、記号と2×2の表を使えば計算で出せます。表の作り方さえ身につければ、定期テストに出る遺伝の計算はほとんど同じ手順で解けます。

計算の前に 記号の約束と分離の法則

生物の形や性質の特徴を形質といいます。エンドウの種子の「丸い」と「しわがある」のように、1つの個体にどちらか一方しか現れない形質の組を対立形質とよびます。

対立形質をもつ純系どうしをかけ合わせたとき、子に現れるほうが顕性形質、子に現れないほうが潜性形質です。顕性は「現れる」、潜性は「ひそむ」という意味で、どちらの形質が強いか、役に立つかとは関係ありません。

形質を決めるもとになるのが遺伝子で、体の細胞には対になって、つまり2つで1組入っています。問題では、顕性の遺伝子を大文字のA、潜性の遺伝子を小文字のaで表すのがふつうです。別のアルファベットを使う問題もありますが、大文字が顕性、小文字が潜性という約束は変わりません。

代を重ねても親と同じ形質が現れる系統を純系といいます。丸い種子の純系はAA、しわのある種子の純系はaaです。

生殖細胞ができるときの減数分裂では、対になっている遺伝子が分かれて別々の生殖細胞に入ります。これが分離の法則です。だから生殖細胞の中の遺伝子は1つだけで、受精するとお父さん側の1つとお母さん側の1つが合わさり、また2つで1組にもどります。

1表の作り方と子の形質 純系どうしのかけ合わせ

遺伝の計算は、すべてかけ合わせの表から始まります。作り方は次のとおりです。

片方の親の生殖細胞の遺伝子を表の上に、もう片方の親の生殖細胞の遺伝子を左に、1つずつ並べます。交わったマスには、左と上の記号を合わせて書き込みます。マスに書くときは大文字を先に書くのが約束です。

丸い種子の純系AAと、しわのある種子の純系aaをかけ合わせてみましょう。AAの生殖細胞にはAが1つ、aaの生殖細胞にはaが1つずつ入るので、上にA・A、左にa・aを並べます。

左\上

A

A

a

Aa

Aa

a

Aa

Aa

4マスともAaになりました。Aが1つでも入っていれば顕性形質、aaのときだけ潜性形質になるので、子はすべてAaで、形質はすべて顕性形質です。子の種子は全部丸くなります。

ただし、子の中にはしわのある種子の遺伝子aも残っています。見た目に出ていないだけで、このaが孫の代でふたたび現れます。

2孫の比 遺伝子の組み合わせ1:2:1と形質3:1

エンドウは、自然のままだと自家受粉をする植物です。自家受粉は、花粉が同じ個体の花のめしべにつくことでした。子を自家受粉させると、子のAaどうしをかけ合わせたのと同じになります。

Aaの生殖細胞には、Aが入るものとaが入るものが半分ずつできます。上にA・a、左にもA・aを並べると、表はこうなります。

左\上

A

a

A

AA

Aa

a

Aa

aa

左下のマスは、左のaと上のAを合わせたものです。大文字を先にしてAaと書き、右上のAaと同じ組み合わせとして数えます。

遺伝子の組み合わせで数えると、AAが1マス、Aaが2マス、aaが1マスです。孫の遺伝子の組み合わせの比はAA:Aa:aa=1:2:1になります。

形質で数えると、Aが入っている3マスが顕性形質、aaの1マスだけが潜性形質です。孫の形質の比は顕性:潜性=3:1になります。

どちらも同じ表から出てくる比なので、問題文が「遺伝子の組み合わせ」と「形質」のどちらを聞いているかに線を引いてから答えるのが安全です。

中2の数学で習う確率を使っても、同じ答えになります。Aaの親の生殖細胞にAが入る確率も、aが入る確率も2分の1です。孫がaaになるのは両方の親からaが来るときなので、2分の1かける2分の1で4分の1。AAも同じく4分の1、Aaは2通りあるので4分の1たす4分の1で2分の1です。比にすると、表と同じ1:2:1です。

教科書では、カードやコインを使ったモデル実験でもこの比を確かめます。片方の親にAとaのカードを1枚ずつ用意し、よく混ぜて1枚引くのが「生殖細胞に入る遺伝子を決める」ことにあたります。もう片方の親でも1枚引き、2枚を合わせたものが孫の遺伝子の組み合わせです。引いたカードは毎回もどしてくり返します。回数が少ないと結果はばらつきますが、回数を多くするほど1:2:1、3:1に近づいていきます。

メンデルの実験でも、孫は丸い種子が5474個、しわのある種子が1850個で、ぴったりではないものの3:1にとても近い数でした。

3個体数の計算 全体から求める・潜性の数から求める

孫が800個体できたとき、顕性形質と潜性形質はそれぞれ何個体になるでしょうか。

表の4マスは、どれも同じ起こりやすさです。そこで、800を4マスに等しく分けます。

  • 800 ÷ 4 = 200(1マス分)
  • 顕性は3マス分なので、200 × 3 = 600(個体)
  • 潜性は1マス分なので、200 × 1 = 200(個体)

答えは顕性600個体、潜性200個体です。800 × 3/4 = 600 と、全体に4分の3をかけて求めてもかまいません。遺伝子の組み合わせで聞かれたら、AAが200個体、Aaが2マス分で400個体、aaが200個体になります。

逆向きの問題も出ます。孫でしわのある種子が300個できたとき、丸い種子はおよそ何個でしょうか。

  • しわ(潜性)は1マス分なので、1マス=300個
  • 丸(顕性)は3マス分なので、300 × 3 = 900(およそ900個)
  • 全体は4マス分なので、300 × 4 = 1200(およそ1200個)

実際の数は3:1ぴったりにはならないので、答えには「およそ」を付けます。

4顕性のうちAaの割合 「何のうちか」を先に見る

孫の顕性形質の個体のうち、遺伝子の組み合わせがAaのものはどれだけの割合でしょうか。

問題は「顕性のうち」と言っているので、表の4マス全部ではなく、Aが入っている3マス(AA・Aa・Aa)だけを見ます。その3マスのうちAaは2マスなので、顕性の個体のうちAaは3分の2です。AAは残りの3分の1です。

800個体の例なら、顕性600個体の3分の2で、600 × 2/3 = 400(個体)。前の節で出した「Aaは400個体」と同じ数になります。

5遺伝子の組み合わせの調べ方 潜性の純系とかけ合わせる

孫の丸い種子は、AAなのかAaなのか、見た目では区別できません。調べるには、その個体を潜性の純系(aa)とかけ合わせる方法を使います。

調べたい個体がAaだった場合、上にA・a、左にa・aを並べます。

左\上

A

a

a

Aa

aa

a

Aa

aa

Aaが2マス、aaが2マスなので、顕性:潜性=1:1で現れます。

調べたい個体がAAだった場合は、上にA・A、左にa・aを並べます。

左\上

A

A

a

Aa

Aa

a

Aa

Aa

4マスともAaなので、すべて顕性形質になります。

相手をaaにするのは、aaからは必ずaしか来ないからです。調べたい個体の遺伝子が、そのまま子の形質になって見えます。相手が顕性の個体だと、相手から来たAのせいで、調べたい個体のaが見えなくなることがあります。結果がおよそ1:1ならAa、すべて顕性ならAA。記述問題では、この理由まで聞かれることがあります。

まとめ 親から孫まで一本の線でつなぐ

子と孫の計算は、次の一本の線で整理できます。

生殖細胞には遺伝子が1つずつ(分離の法則) → 上と左に並べてかけ合わせの表を作る → 親 AA × aa → 子はすべて Aa・すべて顕性形質 → 子どうし(自家受粉)Aa × Aa → 孫は AA:Aa:aa=1:2:1、顕性:潜性=3:1

テストに出る計算は、この表から次の3つに広がります。個体数は4マスに分けて考える。顕性のうちAaの割合は3分の2。AAかAaかを調べるときは潜性の純系とかけ合わせる。表を自分の手で何回か書いておくと、問題の形が変わっても迷わなくなります。

公式・実験のまとめ

計算のパターン

ことばの式・考え方

例

かけ合わせの表

生殖細胞の遺伝子を上と左に1つずつ並べ、マスで合わせる(大文字を先に書く)

上 A・a、左 A・a → AA・Aa・Aa・aa

子(純系どうし)

AA × aa → 4マスすべて Aa

子はすべて顕性形質

孫の遺伝子の組み合わせ

Aa × Aa → 同じ組み合わせのマスの数を数える

AA:Aa:aa=1:2:1

孫の形質

A が入っているマスが顕性、aa だけが潜性

顕性:潜性=3:1

個体数(全体から)

全体 ÷ 4 で1マス分 → マスの数をかける

800個体 → 顕性600・潜性200

個体数(潜性の数から)

潜性の数が1マス分 → 顕性は3倍、全体は4倍

しわ300個 → 丸およそ900個・全体およそ1200個

顕性のうち Aa の割合

顕性の3マスのうち Aa は2マス

3分の2(600個体のうち400個体)

確率で求める

生殖細胞に A が入る確率・a が入る確率はどちらも2分の1

aa は 1/2 × 1/2 = 1/4

調べ方

潜性の純系 aa とかけ合わせる

およそ 1:1 なら Aa、すべて顕性なら AA

モデル実験

A・a のカードを親ごとに1枚ずつ引いて合わせる。毎回もどし、回数を多くする

回数を多くするほど 1:2:1・3:1 に近づく

用語のまとめ

用語

種類

意味

形質

用語

生物の形や性質の特徴(種子の形など)

対立形質

用語

1つの個体にどちらか一方しか現れない、対になった形質(丸い種子としわのある種子)

顕性形質

用語

対立形質をもつ純系どうしをかけ合わせたとき、子に現れる形質

潜性形質

用語

対立形質をもつ純系どうしをかけ合わせたとき、子に現れない形質

遺伝子

用語

形質を決めるもとになるもの。体の細胞には対になって入っている

純系

用語

代を重ねても親と同じ形質が現れる系統。記号では AA か aa

生殖細胞

細胞

減数分裂でできる細胞。遺伝子は対の片方だけ、1つ入る

減数分裂

細胞の分裂

生殖細胞ができるときの分裂。対の遺伝子が分かれる

分離の法則

法則

対になっている遺伝子が分かれて、別々の生殖細胞に入ること

自家受粉

受粉のしかた

花粉が同じ個体の花のめしべにつくこと。エンドウは自然のままだと自家受粉する

かけ合わせの表

計算の道具

生殖細胞の遺伝子を上と左に並べ、マスで組み合わせを出す表

遺伝子の組み合わせ

用語

AA・Aa・aa の3通り。孫では 1:2:1

モデル実験

実験

カードやコインで生殖細胞に入る遺伝子を決め、組み合わせを何回も記録する実験

よくある間違い

孫の2つの比を入れかえない。 遺伝子の組み合わせ(AA:Aa:aa)は1:2:1、形質(顕性:潜性)は3:1です。同じ表から出るので混ざりやすく、テストでもよく見かけるミスです。

子は「顕性と潜性が半分ずつ」ではありません。 純系どうしの子はすべてAaで、Aが1つ入っているので、形質はすべて顕性になります。

表の上と左には、遺伝子を1つずつ書きます。 生殖細胞には対の片方しか入らないからです。見出しにAaと2つ書くと、表が作れなくなります。

マスに書くときは大文字が先です。 左のaと上のAを合わせたマスもAaと書き、右上のマスと同じ組み合わせとして数えます。

孫800個体の顕性は、半分の400個体ではありません。 4マスに分けて1マス200個体、顕性は3マス分で600個体です。形質が2種類だから半分、とは考えません。

顕性のうちAaの割合は2分の1ではなく3分の2です。 4マス全部で数えると2/4になってしまいます。「顕性のうち」なら、顕性の3マスだけを見ます。

AAかAaかを調べる相手は、潜性の純系aaです。 顕性の個体とかけ合わせると、相手のAで調べたい個体のaが見えなくなることがあります。

実際の数がぴったり3:1でなくても、まちがいではありません。 数が多いほど3:1に近づくという意味の比です。答えに「およそ」を付ける問題もあります。

分離の法則は「孫が3:1に分かれること」ではありません。 対になっている遺伝子が分かれて別々の生殖細胞に入ることで、3:1はその結果として出てくる比です。

顕性・潜性は、形質が現れるかひそむかを表す言葉です。 どちらが強い、どちらが役に立つという意味は入っていません。

プリントと動画で確認しよう

このテーマの単語テストと問題集は、下のボタンからダウンロードできます。どちらも答えと解説がついています。

表の作り方を目で追いたいときはアニメーション編を、確率やモデル実験までくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください。

重要語句 AA、Aa、aa、孫の形質の比

プリント(PDF)

ショート動画

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