解説
アジア州は、世界でいちばん大きい大陸、ユーラシア大陸の東部と中部に、まわりの島々を合わせた州です。日本もこのアジア州にふくまれます。5つの地域の場所、まん中の高い山と大きな川、そして季節風と雨の降り方。この3つが、このテーマの中心です。
アジア州の位置 ユーラシア大陸の東部と中部
アジアとヨーロッパは、一続きの大陸の上にあります。それがユーラシア大陸で、面積は世界でいちばん大きい大陸です。ふつう、この大陸の西の部分をヨーロッパ、中部と東部をアジアとよびます。ヨーロッパとアジアの境は、一般にロシアの中にあるウラル山脈などとされています。
アジア州は、2023年の統計で、6つの州の中でいちばん広い州です。
順位(2023年) | 州 | 陸地面積 |
|---|---|---|
1位 | アジア州 | 3,111,545千ha(約3,112万km²) |
2位 | アフリカ州 | 2,992,405千ha(約2,992万km²) |
出典: 国連食糧農業機関(FAO)「FAOSTAT」Land Use・陸地面積(2023年の値、単位: 千ha〔ヘクタール〕。km² は換算した計算値。アジアにロシアはふくまない国連の地域区分)
2位のアフリカ州との差はそれほど大きくありません。順位は「2023年の統計で1位」と、年とセットで覚えます。
人口も多く、2024年の国連の推計では、世界の人口の約6割がアジアに住んでいます。
2024年(推計) | 人口 | 世界にしめる割合 |
|---|---|---|
アジア | 4,806,898千人(約48億人) | 58.9% |
世界 | 8,161,973千人(約82億人) | — |
出典: 国連「World Population Prospects 2024」(2024年の推計値、単位: 千人。割合は世界の人口に対する割合で、計算値)
人口がどこに多いかや、人口の増え方は、次のテーマで取り上げます。
15つの地域 東・東南・南・西・中央アジア
アジア州は、いくつかの地域に分けて学びます。ここでは、東アジア・東南アジア・南アジア・西アジア・中央アジアの5つに分けます。北のシベリア(ロシア)を加えて、6つに分ける資料もあります。
東アジア 日本もここ
東アジアは、アジアの東部で、太平洋に面した地域です。中国、朝鮮半島、日本などが入ります。日本がどの地域に入るかはテストでも聞かれます。日本は東アジアです。
東南アジア インドシナ半島と島々
東南アジアは、アジアの南東部です。インドシナ半島と、インドネシアやフィリピンなどの島々からなっています。タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンなどの国があります。
南アジア インドを中心とする地域
南アジアは、インド半島を中心とする地域です。インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパールなどの国があります。
西アジアと中央アジア
西アジアには、イランやイラク、それからアラビア半島の国々があります。アラビア半島の8割ほどをしめている国が、サウジアラビアです。
中央アジアは、ユーラシア大陸のまん中にある内陸の地域です。海から遠い地域で、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの5つの国があります。
5つの地域は、名前と地図の上のだいたいの場所をセットにして覚えます。
2高い山と大きな川 ヒマラヤ山脈・チベット高原から流れ出す川
ヒマラヤ山脈は「世界の屋根」
アジアのまん中には、とても高い土地が広がっています。
ヒマラヤ山脈は、インドの北、インドとチベット高原の間を、西から東へ走る大きな山脈です。7000メートル級、8000メートル級の高い山が、いくつもならんでいます。
そのなかに、世界でいちばん高い山、エベレスト山があります。ネパールと中国の国境にあり、高さは8800メートルをこえます。高い山が集まっていることから、ヒマラヤ山脈は「世界の屋根」とよばれています。
チベット高原は平均で4000mをこえる
ヒマラヤ山脈の北に広がっているのが、チベット高原です。中国の南西部にある高原で、平均で標高4000メートルをこえます。高原のまわりにも、6000メートルから8000メートルもの山がならんでいます。
「世界の屋根」とよばれるのはヒマラヤ山脈で、その北にあるのがチベット高原です。2つの名前と位置の関係を取り違えないようにします。
高い山脈は地域の境
こうした高い山脈は、地域の境にもなっています。東アジアと、南アジアや中央アジアの間には、ヒマラヤ山脈やテンシャン山脈などの高い山脈があります。テンシャン山脈は、中国の西の端から中央アジアにかけて連なる山脈です。
高い山があると、人の行き来がしにくくなり、海からの影響もさえぎられます。そのため、山をはさんだ両側では、気候や文化が大きくちがいます。
大きな川は高い土地から流れ出す
アジアの大きな川の多くは、このまん中の高い土地を源にしています。長江、黄河、メコン川はチベット高原のあたりから、ガンジス川はヒマラヤ山脈から流れ出します。屋根のてっぺんに降った雨が、まわりに流れ落ちていくイメージです。
長江は、中国でいちばん大きい川です。チベット高原から中国のまん中を東へ流れて、シャンハイで東シナ海に注ぎます。長さは、ナイル川、アマゾン川に次いで世界で3番目です。
黄河は、中国で2番目の大河です。中国の北部、華北という地域を流れて、渤海に注ぎます。流れの途中から土砂をたくさんふくんで水が黄色くなるので、黄河という名前がつきました。
長江の「長」は、長いの「長」。長いほうが長江で、中国のまん中を流れます。北部を流れるのが黄河です。
メコン川は、東南アジアでいちばん大きい川です。チベット高原から南へ流れて、中国の南部、タイとラオスの国境、カンボジアを通り、ベトナムの南部で南シナ海に注ぎます。下流には、メコンデルタという大きな三角州があります。
ガンジス川は、インドの北部を流れる大河です。ヒマラヤ山脈から出て、平原を東へ流れ、バングラデシュでベンガル湾に注ぎます。
似た名前に、インダス川があります。ヒマラヤ山脈の北西部から出て、パキスタンを流れ、アラビア海に注ぐ川です。ガンジス川はベンガル湾、インダス川はアラビア海、と注ぐ海で区別します。
3季節風と気候 夏は雨季・冬は乾季、西と内陸は乾燥
季節風(モンスーン)とは
季節風は、季節によってふく向きが変わる風です。モンスーンともいいます。大陸と海の温度のちがいが原因で起こる風で、夏は海から大陸へ、冬は大陸から海へ、ほぼ反対の向きにふきます。アジアでは、とくに東部から南部で、この季節風がはっきりしています。
夏は雨季、冬は乾季
東南アジアのインドシナ半島や南アジアでは、夏に海から湿った季節風がふいて、雨の日が続きます。これが雨季です。雨季は、1年のうちで、およそ1か月以上にわたって雨の多い時期のことです。
反対に冬は、大陸から乾いた季節風がふいて、乾いた日が続きます。これが乾季です。
インドや東南アジアでは、季節風は夏は南西から、冬は北東からふいてきます。地域によってずれはありますが、だいたい5月・6月ごろから9月・10月ごろまでが雨季、10月・11月ごろから4月・5月ごろまでが乾季です。
日本も季節風の通り道で、夏は南東から、冬は北西から季節風がふきます。
雨季と乾季のちがいがよくわかる例が、カンボジアのトンレサップ湖です。トンレサップ湖のまわりやメコン川の流域では、7月は雨が多く、1月は雨がほとんど降りません。そのため、湖に流れこむ水の量が季節で変わり、湖の水位も変わります。
雨の多い東・南と、乾いた西・内陸
東アジア、東南アジア、南アジアは、季節風の影響を受けて、季節による雨の量の差が大きくなります。一方、西アジアや中央アジアは季節風の影響を受けにくく、1年中乾燥しています。砂漠やステップが広がっています。
世界の気候は、熱帯、乾燥帯、温帯、冷帯(亜寒帯)、寒帯に分けられました。アジア州には、熱帯から寒帯まで、いろいろな気候が見られます。北へ行くほど寒くなります。
東南アジアは、多くの地域が熱帯です。東アジアの東側、日本や朝鮮半島、中国の東側の地方は、多くが温帯で、季節風の影響を受けます。東アジアの西側のモンゴル高原やチベット高原、それから西アジアや中央アジアは、乾燥した地域です。
南ほど気温が高く、西ほど雨が少ない。アジアの気候の分布は、この2つの向きで押さえます。
雨温図で確かめる 4つの都市
地点(1991〜2020年の平年値) | 1月の平均気温 | 7月の平均気温 | 1月の降水量 | 7月の降水量 | 年降水量(計算値) |
|---|---|---|---|---|---|
クアラルンプール(マレーシア) | 27.3℃ | 28.0℃ | 231.3mm | 166.2mm | 2841.6mm |
ムンバイ(インド) | 24.9℃ | 27.7℃ | 0.6mm | 790.5mm | 2250.7mm |
シャンハイ(中国) | 5.0℃ | 28.8℃ | 67.5mm | 144.1mm | 1211.9mm |
リヤド(サウジアラビア) | 14.0℃ | 36.2℃ | 19.3mm | 0.0mm | 175.5mm |
出典: 気象庁「世界の天候データツール(ClimatView 月統計値)」平年値(統計期間 1991〜2020年、単位: ℃・mm。年降水量は12か月の値を合計した計算値。リヤドは「リヤド国際空港」の地点)
マレーシアのクアラルンプールは、1年中気温が高く、雨も多い都市です。1月も7月も平均気温は27〜28℃台で、どの月も100mmをこえる雨が降ります。
インドのムンバイは、6月から9月の雨季に雨が集中します。6〜9月の4か月で、1年の降水量の9割をこえます(計算値)。12月から4月ごろは、ほとんど降りません。7月の降水量は790.5mmで、4つの都市の中でいちばん多くなっています。
サウジアラビアのリヤドは、気温は高いものの、夏と冬の気温の差が大きく、雨は1年を通して少ない都市です。6月から9月は、雨が0mmです。
中国のシャンハイは、夏と冬の気温の差が大きく、夏に雨が多くなります。
赤道はスマトラ島のまん中
赤道は、インドネシアのスマトラ島のまん中を通ります。マレー半島の南のはしにあるシンガポールは、赤道のすぐ近くです。地図に赤道を書きこむ問題では、スマトラ島を目印にします。
まとめ 高い土地から川が流れ出し、季節風が東と南に雨を運ぶ
アジア州の自然は、次のように一本の線でつなげられます。
ユーラシア大陸の東部と中部と、まわりの島々がアジア州 → 東アジア・東南アジア・南アジア・西アジア・中央アジアの5つに分けて学ぶ → まん中に「世界の屋根」ヒマラヤ山脈と、その北のチベット高原 → その高い土地から、長江・黄河・メコン川・ガンジス川などの大きな川が流れ出す → 季節風は夏は海から大陸へ、冬は大陸から海へふく → 東南アジアのインドシナ半島や南アジアでは、夏は雨季、冬は乾季 → 季節風の影響を受けにくい西アジア・中央アジアは、1年を通して乾燥
高い山がまん中にあり、そこから大きな川が流れ出す。季節風が東と南に雨を運び、西と内陸は乾いている。この雨の降り方のちがいは、次のテーマのアジアの農業でも使います。
まとめの表
地域・場所 | 自然の特色 | 押さえること |
|---|---|---|
東アジア(中国・朝鮮半島・日本など) | 東側は多くが温帯で季節風の影響を受ける。西側のモンゴル高原・チベット高原は乾燥 | 日本は東アジア。日本の季節風は夏は南東、冬は北西から |
東南アジア(インドシナ半島と島々) | 多くの地域が熱帯。インドシナ半島は夏が雨季・冬が乾季 | 赤道はスマトラ島のまん中を通る。メコン川の下流にメコンデルタ |
南アジア(インドを中心とする地域) | 夏が雨季・冬が乾季(ムンバイは6〜9月に雨が集中) | 北にヒマラヤ山脈。ガンジス川はベンガル湾、インダス川はアラビア海へ |
西アジア(イラン・イラク・アラビア半島の国々) | 季節風の影響を受けにくく、1年中乾燥 | リヤドは6〜9月の降水量が0mm |
中央アジア(海から遠い内陸の5か国) | 季節風の影響を受けにくく、1年中乾燥。砂漠やステップ | 東アジアとの境のあたりにテンシャン山脈 |
アジアのまん中の高い土地 | ヒマラヤ山脈(世界の屋根)とチベット高原 | 長江・黄河・メコン川はチベット高原のあたりから、ガンジス川はヒマラヤ山脈から流れ出す |
用語のまとめ
用語 | 種類 | 意味 |
|---|---|---|
ユーラシア大陸 | 大陸 | アジアとヨーロッパを合わせた、世界でいちばん大きい大陸 |
東アジア | 地域 | アジアの東部で、太平洋に面した地域。中国・朝鮮半島・日本など |
東南アジア | 地域 | アジアの南東部。インドシナ半島と、インドネシアやフィリピンなどの島々からなる |
南アジア | 地域 | インド半島を中心とする地域。インド・パキスタン・バングラデシュ・スリランカなど |
西アジア | 地域 | イラン・イラクや、アラビア半島の国々(サウジアラビアなど)がある地域 |
中央アジア | 地域 | ユーラシア大陸のまん中の、海から遠い内陸の地域。カザフスタンなど5か国 |
ヒマラヤ山脈 | 山脈 | インドとチベット高原の間を西から東へ走る大山脈。8000m級の山がならぶ |
世界の屋根 | よび名 | 高い山が集まっていることからついた、ヒマラヤ山脈のよび名 |
エベレスト山 | 山 | ヒマラヤ山脈にある世界でいちばん高い山。ネパールと中国の国境にある |
チベット高原 | 高原 | ヒマラヤ山脈の北、中国の南西部に広がる高原。平均で標高4000mをこえる |
長江 | 川 | 中国でいちばん大きい川。中国のまん中を東へ流れ、シャンハイで東シナ海に注ぐ |
黄河 | 川 | 中国で2番目の大河。中国の北部(華北)を流れ、渤海に注ぐ。土砂で水が黄色い |
メコン川 | 川 | 東南アジアでいちばん大きい川。チベット高原から南へ流れ、ベトナムの南部で南シナ海に注ぐ |
ガンジス川 | 川 | ヒマラヤ山脈から出て、インドの北部を東へ流れ、ベンガル湾に注ぐ大河 |
季節風(モンスーン) | 風 | 季節によってふく向きが変わる風。夏は海から大陸へ、冬は大陸から海へふく |
雨季 | 時期 | 1年のうちで、およそ1か月以上にわたって雨の多い時期。東南アジアのインドシナ半島や南アジアでは夏 |
乾季 | 時期 | 1年のうちで雨の少ない時期。東南アジアのインドシナ半島や南アジアでは冬 |
よくある間違い
「世界の屋根」とよばれるのはヒマラヤ山脈です。 チベット高原は、そのヒマラヤ山脈の北に広がる高原です。
長江は中国のまん中を、黄河は中国の北部を流れます。 長いほうが長江で、長江は東シナ海、黄河は渤海に注ぎます。
ガンジス川はベンガル湾、インダス川はアラビア海に注ぎます。 インドの北部を東へ流れるのがガンジス川です。
季節風は、夏と冬でほぼ反対の向きにふきます。 夏は海から大陸へ、冬は大陸から海へ。夏の湿った風が雨を運びます。
夏が雨季、冬が乾季になるのは、東南アジアのインドシナ半島や南アジアです。 クアラルンプールのように1年中雨が多い都市もあり、西アジアや中央アジアは1年を通して乾燥しています。
東アジアの東側(日本・朝鮮半島・中国の東側の地方)は、多くが温帯です。 アジア州には熱帯から寒帯まであり、北へ行くほど寒くなります。
赤道は、インドネシアのスマトラ島のまん中を通ります。 シンガポールは、赤道のすぐ近くにある都市です。
アジア州は、2023年の統計で6つの州の中でいちばん広い州です。 2位のアフリカ州との差は小さいので、年とセットで覚えます。
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5つの地域や大きな川の流れをざっと見たいときはアニメーション編を、雨温図の読み方までくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください(動画は準備中です)。
重要語句 ヒマラヤ山脈、チベット高原、季節風、長江