中学社会・地理・日本のさまざまな地域・No.79

東海の産業 ― 中京工業地帯と東海工業地域

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解説

東海は、中部地方の太平洋側の地域です。名古屋市を中心に自動車の工業がさかんな中京工業地帯。静岡県の太平洋ぞいに広がる東海工業地域。そして茶やみかん、電照菊などの農業。この3つが、この単元の中心です。

東海の位置 中部地方の太平洋側

東海は、中部地方の太平洋側の地域です。ふつう、静岡県・愛知県・三重県と、岐阜県の南部をさします。

三重県は、日本を7つの地方に分けると、近畿地方の県です。東海の話に出てきても、三重県は近畿地方の県として覚えます。愛知県と三重県の間には、伊勢湾があります。

1中京工業地帯と自動車 繊維から自動車へ

中京工業地帯は名古屋市が中心

中京工業地帯は、名古屋市を中心とする工業地帯です。名古屋市は愛知県の県庁所在地で、伊勢湾に面しています。

織物の機械から自動車へ

名古屋のまわりでは、明治のあと、繊維工業や焼き物の工業がさかんでした。やがて愛知県に、織物を織る機械(自動織機)をつくる会社ができました。

その会社の中に自動車部ができ、1937年に分かれてトヨタ自動車工業になりました。織物の機械をつくる技術が、自動車の工業の出発点になったわけです。

豊田市と関連工場

豊田市は、愛知県の中北部にある、自動車工業の都市です。自動車の会社の名前にちなんで、1959年に豊田市という名前になりました。会社の名前はカタカナの「トヨタ」、市の名前は漢字の「豊田」です。

豊田市には、自動車の組み立て工場があります。そのまわりに、自動車の部品をつくる下請けの関連工場が集まっています。

このように、1つの大きな会社を中心に、関連の会社が集まってできた町を企業城下町といいます。

項目(2024年)

値

豊田市の製造品出荷額等

21.2兆円(全国の市町村で1位。2位は倉敷市の5.8兆円)

そのうち輸送用機械(自動車など)の割合

93.6%

出典: 経済産業省・総務省「2025年経済構造実態調査」製造業事業所調査 地域別統計表 参考表(2024年の値、単位: 兆円。割合は豊田市の出荷額に対する割合で、計算値)

製造品出荷額は、工場でつくって出荷した製品の金額などのことです。2024年の統計で、豊田市は製造品出荷額が全国の市町村で1位で、その9割以上が自動車などの輸送用機械です。

出荷額がいちばん多い工業地帯

工業地帯・地域の出荷額を、新しい統計でくらべます。

順位(2024年)

工業地帯・地域

製造品出荷額

全国にしめる割合

1位

中京工業地帯

72.3兆円

19.0%

2位

阪神工業地帯

39.3兆円

10.3%

3位

瀬戸内工業地域

37.7兆円

9.9%

4位

北関東工業地域(関東内陸工業地域)

35.5兆円

9.3%

5位

京浜工業地帯

28.1兆円

7.4%

6位

東海工業地域

19.8兆円

5.2%

出典: 経済産業省・総務省「2025年経済構造実態調査」(2024年の値)より作成(単位: 兆円。割合は全国計 381.7兆円に対する割合で、計算値)。中京は愛知・三重、阪神は大阪・兵庫、瀬戸内は岡山・広島・山口・香川・愛媛、北関東は栃木・群馬・埼玉、京浜は東京・神奈川、東海は静岡の合計。

2024年の統計で、中京工業地帯は製造品出荷額がいちばん多い工業地帯です。県で見ても、自動車などの輸送用機械の出荷額は、愛知県が全国の4割ほどをしめています。

順位(2024年)

都道府県

輸送用機械の製造品出荷額

全国にしめる割合

1位

愛知県

34.0兆円

41.4%

2位

静岡県

5.0兆円

—

3位

広島県

4.2兆円

—

出典: 経済産業省・総務省「2025年経済構造実態調査」製造業事業所調査 地域別統計表 第1表(2024年の値、単位: 兆円。割合は全国計 82.2兆円に対する割合で、計算値)

グラフの見分け方は「機械の割合」

工業地帯の帯グラフで中京を見分けるポイントは、機械です。

工業地帯・地域(2024年)

金属

機械

化学

食料品

繊維

その他

中京工業地帯

9.8%

69.8%

6.6%

4.6%

0.6%

8.6%

阪神工業地帯

21.8%

36.4%

17.6%

11.3%

1.1%

11.8%

京浜工業地帯

9.7%

48.1%

17.0%

11.8%

0.6%

12.8%

東海工業地域

7.7%

50.5%

12.7%

13.5%

0.5%

15.1%

全国

14.6%

45.7%

13.4%

12.0%

1.1%

13.2%

出典: 経済産業省・総務省「2025年経済構造実態調査」(2024年の値)より作成。化学には石油・石炭製品、食料品には飲料・たばこ・飼料をふくむ。中京は愛知・三重、阪神は大阪・兵庫、京浜は東京・神奈川、東海は静岡の合計(単位: %。製造品出荷額にしめる割合で、計算値)。

2024年の統計で、中京工業地帯は出荷額のおよそ7割(69.8%)が機械工業です。その中でも自動車などの輸送用機械が、出荷額全体の51.7%と半分ほどをしめます。

阪神工業地帯は、中京や京浜にくらべて金属の割合が高い工業地帯でした。機械が極端に多いのが中京、金属が多めなのが阪神です。京浜は、印刷の割合(3.4%)が全国(1.3%)より高くなっています。

教科書のグラフは年が古いので、数字が少しちがうことがあります。見るのは、どの業種の割合が高いかという傾向です。

伊勢湾ぞいの臨海部

臨海部は、海に面した所のことです。中京工業地帯には、自動車のほかに、伊勢湾ぞいの臨海部の工業もあります。

1つは、愛知県の東海市の製鉄(鉄鋼)です。東海市は、知多半島の付け根にある、伊勢湾に面した市です。もう1つは、三重県北部の四日市市の石油化学コンビナートです。コンビナートは、阪神工業地帯の単元で見たように、大きな工場がたがいに結びついて集まったものです。

2東海工業地域 西の浜松は楽器とオートバイ、東の富士は紙

静岡県の太平洋ぞいの工業地域

東海工業地域は、静岡県の太平洋ぞいに広がる工業地域です。西は中京工業地帯に続き、京浜工業地帯と中京工業地帯の間を結ぶ位置にあります。

名前は、中京が「工業地帯」、東海が「工業地域」です。1文字ちがうので、書くときに取り違えないようにします。

浜松市 楽器とオートバイ

浜松市は、静岡県の西部にある都市です。天竜川の流域から浜名湖のまわりに広がっています。

浜松では、明治から楽器(ピアノなど)、第二次世界大戦の後はオートバイや自動車の工業が発達しました。楽器の工業は、木工の技術や、天竜川の上流でとれる木材を背景に発達しました。また、繊維工業で育った技術ももとになって、オートバイや自動車、楽器の工業が育ちました。

富士市 製紙・パルプ工業

富士市は、静岡県の東部にあり、駿河湾に面しています。富士山からの豊かな水を使って、製紙・パルプ工業がさかんです。

順位(2024年)

都道府県

パルプ・紙・紙加工品の製造品出荷額

全国にしめる割合

1位

静岡県

1兆107億円

12.2%

2位

愛媛県

6,224億円

—

3位

埼玉県

5,885億円

—

出典: 経済産業省・総務省「2025年経済構造実態調査」製造業事業所調査 地域別統計表 第1表(2024年の値、単位: 億円。割合は全国計 8兆2,810億円に対する割合で、計算値)

2024年の統計で、紙・パルプの出荷額は静岡県が全国1位です。西の浜松は楽器とオートバイ、東の富士は紙。東西を逆にしないことが大切です。

3東海の農業 牧ノ原の茶・みかん・渥美半島の電照菊

牧ノ原台地の茶

茶といえば静岡県です。静岡県の茶は、牧ノ原台地を中心に栽培されています。牧ノ原は、静岡県の中南部、大井川の下流に広がる台地です。水はけがよく、茶の栽培に向いていました。

茶の順位は、何を数えるかで変わります。茶をつむ畑の広さ(面積)は、今も静岡県が1位です。一方、つんだ茶(荒茶)の生産量は、2025年の統計では鹿児島県が1位、静岡県が2位です。荒茶は、つんだ葉を蒸して乾かした、仕上げる前の茶のことです。

項目(2025年)

1位

2位

3位

荒茶の生産量

鹿児島県 30,000t(39.9%)

静岡県 24,100t(32.1%)

三重県 4,860t

茶をつむ畑の面積

静岡県 10,500ha

鹿児島県 7,670ha

—

出典: 農林水産省「作物統計調査」令和7年産 茶(主産県別)(2025年の値、単位: t〔トン〕・ha。割合は全国の推計値 75,100t に対する割合で、計算値)

2025年の統計で、静岡県と鹿児島県が茶の二大産地です。茶の順位を答えるときは、畑の面積の話か荒茶の生産量の話か、何年の統計かをセットで確かめます。

山の斜面のみかん

静岡県では、山の斜面を使ってみかんも栽培されています。静岡県は、和歌山県や愛媛県と並ぶみかんの産地です。

順位(2024年)

都道府県

みかんの収穫量

全国にしめる割合

1位

和歌山県

141,700t

25%

2位

静岡県

88,500t

16%

3位

愛媛県

76,100t

14%

出典: 農林水産省「作物統計調査」令和6年産 果樹 みかん(2024年の値・確報、単位: t〔トン〕)

みかんの2位と3位は、年によって静岡県と愛媛県が入れかわります。2025年の速報では、愛媛県が2位、静岡県が3位でした。

渥美半島と豊川用水

渥美半島は、愛知県の南東部にある半島です。知多半島(愛知県の南西部)とともに、三河湾を囲んでいます。2つの半島は取り違えやすいので、渥美半島は南東と覚えます。

渥美半島は、もともと水不足に悩んでいました。1968年に豊川用水が完成して水が引かれると、温暖な気候を生かして、電照菊やメロンなどの温室の園芸がさかんになりました。

温室やビニールハウスを使って、野菜や花などを育てる農業を、施設園芸農業といいます。

電照菊と抑制栽培

渥美半島でさかんなのが、電照菊です。電照菊は、夜も電灯の光を当てて、菊の花が咲くのを遅らせ、冬から春にかけて出荷する菊です。

秋に咲く菊は、昼が短くなると花が咲きます。そこで夜も明るくして、花が咲く時期を遅らせています。このように、育つ時期や収穫の時期を遅らせる栽培を、抑制栽培といいます。

順位(2025年)

都道府県

菊の出荷量

全国にしめる割合

1位

愛知県

3億8,860万本

37.2%

2位

沖縄県

1億5,630万本

—

3位

福岡県

6,070万本

—

出典: 農林水産省「作物統計調査」令和7年産 花き生産出荷統計 切り花類 きく(2025年の値・確報、単位: 本。割合は全国計 10億4,600万本に対する割合で、計算値)

2025年の統計で、菊の出荷量は愛知県が全国1位、2位は沖縄県です。

まとめ 中京は機械、東海工業地域は浜松と富士、農業は茶と電照菊

東海の産業は、次のように一本の線でつなげられます。

名古屋のまわりで繊維工業がさかん → 織物の機械をつくる会社から、1937年にトヨタ自動車工業 → 1959年に豊田市、組み立て工場と関連工場が集まる → 中京工業地帯は2024年の統計で出荷額1位、機械がおよそ7割 → 伊勢湾ぞいの臨海部に東海市の鉄鋼と四日市市の石油化学 → 東海工業地域では西の浜松で楽器とオートバイ、東の富士で製紙・パルプ → 農業は牧ノ原の茶と山の斜面のみかん → 渥美半島は1968年の豊川用水で施設園芸農業がさかんになり、電照菊は抑制栽培

中京工業地帯は、2024年の統計で出荷額がいちばん多く、機械、とくに自動車などの輸送用機械の割合が高い工業地帯です。場所と産業を、何年の統計かといっしょに覚えましょう。

まとめの表

場所

何があるか

押さえること

名古屋市(愛知県の県庁所在地・伊勢湾に面する)

中京工業地帯の中心

2024年の統計で出荷額1位。機械がおよそ7割、輸送用機械が半分ほど。統計では愛知県と三重県の合計

豊田市(愛知県の中北部)

自動車の組み立て工場・関連工場

会社の名前にちなんで1959年に豊田市に。2024年の統計で出荷額が全国の市町村で1位。企業城下町

伊勢湾ぞいの臨海部

東海市の鉄鋼・四日市市の石油化学コンビナート

東海市は知多半島の付け根、四日市市は三重県の北部

浜松市(静岡県の西部)

楽器・オートバイ・自動車

楽器は木工の技術と天竜川の上流の木材が背景。繊維工業で育った技術がもとになった

富士市(静岡県の東部・駿河湾に面する)

製紙・パルプ工業

富士山からの豊かな水を使う。2024年の統計で紙・パルプの出荷額は静岡県が全国1位

牧ノ原(静岡県の中南部・大井川の下流)

茶

水はけがよい台地。畑の面積は静岡県が1位、荒茶の生産量は2025年の統計で鹿児島県が1位

静岡県の山の斜面

みかん

和歌山県・愛媛県と並ぶ産地。2位と3位は年で愛媛県と入れかわる

渥美半島(愛知県の南東部)

施設園芸農業・電照菊

水不足を1968年の豊川用水で解消。電照菊は咲くのを遅らせる抑制栽培。2025年の統計で菊の出荷量は愛知県が1位

用語のまとめ

用語

種類

意味

中京工業地帯

工業地帯

名古屋市を中心とする工業地帯。統計では愛知県と三重県の合計で見る

製造品出荷額

統計の数

工場でつくって出荷した製品の金額など

輸送用機械

工業の種類

自動車などをつくる機械工業

関連工場

工場

自動車の部品をつくる下請けの工場。組み立て工場のまわりに集まる

企業城下町

町

1つの大きな会社を中心に、関連の会社が集まってできた町。豊田市など

臨海部

地域

海に面した所。中京工業地帯では伊勢湾ぞい

東海工業地域

工業地域

静岡県の太平洋ぞいに広がる工業地域。西は中京工業地帯に続く

製紙・パルプ工業

工業の種類

紙やパルプをつくる工業。富士市でさかん

荒茶

統計の言葉

つんだ葉を蒸して乾かした、仕上げる前の茶

施設園芸農業

農業

温室やビニールハウスを使って、野菜や花などを育てる農業

電照菊

作物

夜も電灯の光を当てて花が咲くのを遅らせ、冬から春に出荷する菊

抑制栽培

栽培の方法

育つ時期や収穫の時期を遅らせる栽培

よくある間違い

三重県は、日本を7つの地方に分けると、近畿地方の県です。 統計で中京工業地帯を数えるときは、愛知県と三重県を合わせて数えます。

2024年の統計で、中京工業地帯は製造品出荷額がいちばん多い工業地帯です。 古い本には別の順位が書かれていることがあるので、順位は何年の統計かとセットで答えます。

2024年の統計で、中京工業地帯は、出荷額のおよそ7割が機械工業です。 金属の割合が高めなのは阪神工業地帯です。帯グラフでは、機械の長さを見て見分けます。

中京工業地帯は「工業地帯」、東海工業地域は「工業地域」です。 名前が1文字ちがいます。

浜松市は静岡県の西部、富士市は静岡県の東部です。 浜松は楽器とオートバイ、富士は製紙・パルプ工業です。

茶をつむ畑の面積は静岡県が1位です。荒茶の生産量は、2025年の統計で鹿児島県が1位、静岡県が2位です。 面積の話か生産量の話かを分けて答えます。

2024年の統計で、みかんの収穫量の1位は和歌山県です。 静岡県は、愛媛県と2位・3位を年によって入れかわります。

電照菊は、光を当てて花が咲くのを遅らせる、抑制栽培です。 冬から春にかけて出荷します。

渥美半島は愛知県の南東部、知多半島は南西部の半島です。 電照菊でさかんなのは渥美半島です。

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このテーマの単語テストと問題集は、下のボタンからダウンロードできます。どちらも答えと解説がついています。

豊田市や浜松・富士の産業をざっと見たいときはアニメーション編を、工業地帯のグラフの見分け方や茶の統計の読み方までくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください(動画は準備中です)。

重要語句 中京工業地帯、東海工業地域、電照菊、施設園芸

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