解説
東京は日本の首都です。政治・経済・情報・文化の中心のはたらきが集まる東京一極集中。大使館や外資系企業が集まる、世界とつながる東京。そして昼間人口と夜間人口、通勤・通学圏の広がり。この3つが、この単元の中心です。
東京の位置と首都
東京都は、関東地方の南西部にあります。北は埼玉県、東は千葉県、南は東京湾と神奈川県、西は山梨県に囲まれています。
首都は、その国の中央政府、つまり国を治める機関がある都市のことです。日本の首都は東京です。
1東京一極集中 政治・経済・情報・文化の中心
東京一極集中とは
東京一極集中は、東京に、政治・経済・文化などの中心のはたらきや、人口・会社・大学などが集まっていることです。「一極集中」とだけ言うこともあります。中心のはたらきは、政治・経済・情報・文化の4つに分けて覚えます。
東京都は、面積はせまいほうです。それでも、人口は都道府県でいちばん多くなっています。
項目(2025年) | 人口 | 全国にしめる割合 |
|---|---|---|
東京都 | 1423万7千人(都道府県で1位) | 11.6% |
東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県) | 3697万5千人 | 30.1% |
全国 | 1億2297万3千人 | — |
出典: 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計 結果の要約」(2025年10月1日現在の値、単位: 人・%)
2025年の国勢調査で、東京都の人口は全国の1割以上です。東京都と、まわりの神奈川県・埼玉県・千葉県を合わせた範囲を東京圏といい、東京圏まで合わせると全国の約3割になります。3割は東京都だけの数ではありません。
似た言葉に首都圏があります。首都圏は、法律では東京都と関東地方の6つの県、それに山梨県を合わせた範囲です。東京圏より広いので、2つを混ぜないようにします。
政治の中心 永田町と霞が関
千代田区の永田町には、国会が開かれる国会議事堂や、首相官邸があります。永田町は皇居の南西にあり、国の政治の中心地です。
千代田区の南部にある霞が関は、中央官庁街です。中央官庁は、全国に権限が及ぶ国の役所のことで、外務省や財務省などが集まり、日本の行政の中心になっています。
最高裁判所も東京にあります。最高裁判所は、裁判のいちばん上の機関です。法律を決める立法(国会)、政治を行う行政(中央官庁)、裁判をする司法(最高裁判所)の3つの中心のはたらきが、首都の東京に集まっています。
経済の中心 都心と丸の内・大手町
都心は、政治や経済の中心のはたらきが集まる、大都市の中心部のことです。東京では、千代田区・中央区・港区を中心とするあたりが都心です。都心には、大企業の本社や日本銀行、主要な銀行や証券会社なども集まっています。
東京駅の西側一帯の丸の内や大手町は、ビジネス街です。丸の内は皇居の東、大手町はその北側にあります。大きな会社の本社が集まり、日本の経済の中心になっています。
中央区には東京証券取引所があります。会社の株式が売り買いされる、日本最大の取引所です。千代田区ではなく中央区にあることに注意します。
情報と文化の中心
東京には、テレビ局や新聞社、出版社などのマスコミが集まっています。そのため東京は、日本の情報を発信する中心です。
また、多くの大学や図書館、美術館、博物館、劇場なども集まっていて、文化の面でも日本の中心になっています。政治・経済・情報・文化のいろいろな中心のはたらきが、東京に重なって集まっているのです。
2世界とつながる東京 大使館と外資系企業
大使館は、大使が、送られた先の国で仕事をするための事務所です。日本にあるのは外国の大使館で、その多くは東京の都心に集まっています。
日本で活動する外国の企業や、外国の会社や外国の人がお金を出している企業を、外資系企業といいます。世界の代表的な企業が、東京に拠点を置いています。
東京は、ニューヨークやロンドンと並ぶ、国際的な中心の一つになっています。こういう都市を、世界都市ということもあります。首都の東京には、国の中心のはたらきとともに、外国の大使館も集まっています。
3昼間人口と夜間人口、通勤・通学圏
昼間人口と夜間人口のちがい
夜間人口は、その地域に住んでいる人の数のことです。国勢調査の人口は、この夜間人口にあたります。
昼間人口は、夜間人口に、通勤・通学で入ってくる人を足して、出ていく人を引いた数です。国勢調査の昼間人口は、通勤や通学の場所から計算します。そのため、買い物や旅行で一時的に来ている人は入りません。
都心は昼間人口が多く、住宅地は少ない
都心には事務所や学校が集まっています。千代田区には官庁や会社がたくさんあり、昼は、ほかの地域やとなりの県から多くの人が通勤してきます。仕事が終わると住んでいる所へ帰るので、夜間人口は少なくなります。
区(2020年) | 昼間人口 | 夜間人口 | 昼間人口は夜間人口の何倍か |
|---|---|---|---|
千代田区(都心) | 約90.4万人 | 約6.7万人 | 約14倍 |
新宿区 | 約79.4万人 | 約34.9万人 | 2倍以上 |
練馬区(23区の北西部) | 約60.1万人 | 約75.3万人 | 1倍未満(昼間人口のほうが少ない) |
出典: 東京都総務局統計部「令和2年国勢調査 東京都の昼間人口」第1表(2020年の値、単位: 万人。万人と倍は計算値)
2020年の国勢調査で、千代田区の昼間人口は夜間人口の10倍以上です。新宿区も昼間人口のほうが多く、夜間人口の2倍以上です。東京23区の北西部にある練馬区は住宅の多い地域で、昼間人口のほうが夜間人口より少なくなっています。
グラフで区を見分けるときは、昼間人口と夜間人口のどちらが多いかを見ます。都心は昼間人口が多く、まわりの住宅地は昼間人口が少ないと覚えます。
東京都全体(2020年) | 人数 |
|---|---|
昼間人口 | 1675万1563人 |
夜間人口 | 1404万7594人 |
昼間人口と夜間人口の差 | 約270万人 |
出典: 東京都総務局統計部「令和2年国勢調査 東京都の昼間人口 概要」(2020年の値、単位: 人。差は計算値)。東京都全体の値は、回答がわからなかった人の分を補った値で、上の区の表とは集計のしかたがちがう。順位は総務省統計局「令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計 結果の要約」
2020年の国勢調査で、東京都全体でも、昼間人口は夜間人口より約270万人多くなっています。夜間人口にくらべて昼間人口が多い割合は、東京都が全国1位で、いちばん低いのはとなりの埼玉県です。
県境をこえて広がる通勤・通学圏
東京の市街地は、県境をこえて、となりの神奈川県・埼玉県・千葉県に広がりました。都心の土地の値段(地価)が上がると、住宅は郊外へ押し出されました。郊外は、都心のまわりにある住宅地のことです。郊外に住む多くの人は、鉄道やバスで都心へ通勤しています。
こうして、通勤や通学で東京に通ってくる人が住む範囲、つまり通勤・通学圏が、県境をこえて広がっています。東京大都市圏の広がりも、東京へ通勤できる範囲(通勤圏)で示されます。
順位(2020年) | 住んでいる県 | 東京都へ通勤・通学する人 | 割合 |
|---|---|---|---|
1位 | 神奈川県 | 約127.7万人 | 38.0% |
2位 | 埼玉県 | 約108.3万人 | 32.2% |
3位 | 千葉県 | 約84.2万人 | 25.1% |
— | ほかの県から東京都への合計 | 約336.3万人 | 100% |
出典: 東京都総務局統計部「令和2年国勢調査 東京都の昼間人口 概要」(2020年の値、単位: 人・%。万人は計算値、割合はほかの県から東京都への合計にしめる割合)
2020年の国勢調査で、ほかの県から東京都へ通勤・通学する人は約336万人です。いちばん多いのは神奈川県からで、次いで埼玉県、千葉県の順です。この3つの県で95%をこえます。
新宿のような副都心は、都心と郊外を結ぶ鉄道などの乗りかえの場所になっていることが多いです。このように、いくつもの路線が乗り入れる駅をターミナル駅といいます。
今も東京に人が集まる
2025年の国勢調査で、人口が増えた都道府県は東京都だけでした。また、2025年も東京圏には、出ていく人より多くの人が引っ越してきています。引っ越してくる人が出ていく人より多いことを、転入超過といいます。
項目(2025年) | 値 |
|---|---|
東京圏の転入超過 | 12万3534人 |
そのうち日本人の転入超過 | 11万2738人(30年連続の転入超過) |
出典: 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果の要約」(2025年の値、単位: 人)。人口の増減は総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計 結果の要約」
まとめ 中心のはたらきが集まる東京と、県境をこえる通勤・通学圏
東京の学習は、次のように一本の線でつなげられます。
東京は日本の首都 → 政治・経済・情報・文化の中心のはたらきが集まる東京一極集中 → 永田町に国会議事堂と首相官邸、霞が関に中央官庁、最高裁判所も東京 → 都心に大企業の本社や日本銀行、中央区に東京証券取引所 → マスコミや大学・美術館も集まる → 外国の大使館や外資系企業も集まり、世界とつながる → 都心は2020年の国勢調査で昼間人口が夜間人口よりずっと多く、住宅の多い区は少ない → 郊外に住む多くの人が通勤し、通勤・通学圏は神奈川県・埼玉県・千葉県へ広がる
2025年の国勢調査で、東京都の人口は全国の1割以上、東京圏で約3割です。昼間人口と夜間人口は、区ごとのちがいと出し方をセットで覚えましょう。
まとめの表
場所 | 何があるか | 押さえること |
|---|---|---|
永田町(千代田区・皇居の南西) | 国会議事堂・首相官邸 | 国の政治の中心地 |
霞が関(千代田区の南部) | 中央官庁 | 外務省・財務省などが集まる行政の中心 |
丸の内・大手町(東京駅の西側一帯) | 大企業の本社 | 丸の内は皇居の東、大手町はその北側。経済の中心 |
中央区 | 東京証券取引所 | 千代田区ではなく中央区 |
都心(千代田区・中央区・港区のあたり) | 本社・日本銀行・銀行・証券会社・外国の大使館 | 昼間人口が夜間人口よりずっと多い |
練馬区(東京23区の北西部) | 住宅の多い地域 | 2020年の国勢調査で、昼間人口のほうが夜間人口より少ない |
神奈川県・埼玉県・千葉県 | 郊外の住宅地 | 2020年の国勢調査で、東京都へ通勤・通学する人は神奈川県・埼玉県・千葉県の順に多い |
用語のまとめ
用語 | 種類 | 意味 |
|---|---|---|
首都 | 都市 | その国の中央政府がある都市。日本の首都は東京 |
東京一極集中 | 状態 | 東京に、政治・経済・文化などの中心のはたらきや、人口・会社・大学などが集まっていること |
東京圏 | 範囲 | 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県 |
首都圏 | 範囲 | 法律では東京都と関東地方の6県・山梨県の1都7県 |
中央官庁 | 役所 | 全国に権限が及ぶ国の役所。霞が関に集まる |
都心 | 地域 | 政治や経済の中心のはたらきが集まる、大都市の中心部 |
大使館 | 事務所 | 大使が、送られた先の国で仕事をするための事務所 |
外資系企業 | 会社 | 日本で活動する外国の企業や、外国の会社や外国の人がお金を出している企業 |
夜間人口 | 統計の数 | その地域に住んでいる人の数 |
昼間人口 | 統計の数 | 夜間人口に、通勤・通学で入ってくる人を足して、出ていく人を引いた数 |
郊外 | 地域 | 都心のまわりにある住宅地 |
通勤・通学圏 | 範囲 | 通勤や通学で、その都市に通ってくる人が住む範囲 |
ターミナル駅 | 駅 | いくつもの路線が乗り入れる駅 |
転入超過 | 統計の言葉 | 引っ越してくる人が、出ていく人より多いこと |
よくある間違い
2025年の国勢調査で、東京都の人口は全国の1割以上です。約3割になるのは、神奈川県・埼玉県・千葉県と合わせた東京圏です。 東京都と東京圏を分けて答えます。
1都3県は東京圏です。首都圏は、法律では東京都と関東地方の6県・山梨県を合わせた1都7県です。 2つの範囲を混ぜないようにします。
国勢調査の昼間人口は、夜間人口に通勤・通学で入ってくる人を足して、出ていく人を引いた数です。 買い物や旅行で一時的に来ている人は入りません。
2020年の国勢調査で、千代田区は昼間人口が夜間人口の10倍以上、練馬区は昼間人口のほうが少ない区です。 都心か住宅地かで、多い・少ないが逆になります。
一極集中は、政治・経済・情報・文化のいろいろな中心のはたらきが東京に重なっていることです。 政治だけ、会社だけの話ではありません。
東京証券取引所は中央区にあります。 永田町・霞が関・丸の内・大手町は千代田区です。
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首都・東京の中心のはたらきをざっと見たいときはアニメーション編を、昼間人口の出し方や通勤・通学の統計の読み方までくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください(動画は準備中です)。
重要語句 一極集中、昼間人口、夜間人口、大使館