中学社会・地理・世界のさまざまな地域・No.21

韓国・台湾 ― 日本に近い隣国の産業と文化

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解説

韓国と台湾は、どちらも日本のすぐ近くにあり、輸出向けの工業で急に成長してきました。韓国の工業がどう変わってきたのか、韓国の文化と首都への人口の集中、そして台湾の工業と日本とのつながり。この3つが、この単元の中心です。

韓国と台湾の位置 朝鮮半島の南部と、中国の南東の沖の島

前の単元では、アジア州の東部(東アジア)にある中国を見ました。今回の韓国と台湾も、同じ東アジアの話です。

韓国の正式な名前は大韓民国です。朝鮮半島の南部、北緯38度線のあたりから南にある国です。朝鮮半島は、アジア大陸の東のはしから南に突き出た半島で、日本海をはさんで日本と向き合っています。

半島の北部は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)で、韓国との間には軍事境界線があります。この境は38度線そのものではないので、「北緯38度線のあたり」という言い方で覚えます。

韓国の南東のはしには、港町のプサンがあります。対馬市によると、日本の対馬からプサンまでは、海をへだてて約50kmです。プサンは、昔から日本と朝鮮を結ぶ交通の要所でした。

台湾は、中国の南東の沖にある島です。広さは九州くらいです。韓国も台湾も日本のすぐ近くにあり、この近さが、あとで見る日本とのつながりにも関わってきます。

1アジアNIESと韓国の工業 繊維から重化学工業、そして半導体へ

アジアNIESは、急に工業化した4つの国・地域

1970年代ごろから急に工業化し、高い経済成長をとげたアジアの国・地域を、アジアNIESといいます。日本語では新興工業経済地域です。アジアでは、韓国、台湾、ホンコン、シンガポールの4つがあてはまります。

NIESのEは「経済地域」という意味の言葉の頭文字です。そのため、4つをまとめて言うときは「国・地域」という言い方をします。ホンコンは中国の南部、シンガポールは東南アジアにあり、くわしくは別の単元で学びます。

材料を輸入して、つくって、輸出する

韓国は1960年代から、外国の資金を借りたり受け入れたりしながら、輸出を中心に工業化を進めました。工業化に必要な原油や機械類を輸入し、それを使って工業製品をつくって外国に売る。この流れで、韓国の経済は急に成長しました。

輸出品の中心は、時代とともに次のように変わってきました。

順番

輸出品の中心

工業の種類

はじめ

衣類などの繊維の製品

軽工業

そのあと

鉄鋼・造船・自動車など

重化学工業

今

半導体などの電子製品

電子工業

はじめは衣類などの繊維で、軽工業が中心でした。そのあと鉄鋼や造船、自動車などの重化学工業の製品がのび、今は半導体などの電子製品が大きくのびています。この切りかわりの年は資料によって少しずつ違うので、年ではなく順番で覚えれば十分です。

世界銀行の統計で、韓国のものの輸出額は、1980年の175.12億ドルから、2024年には6,836.09億ドルになりました。約39倍です。

出典: 世界銀行 World Development Indicators 韓国のものの輸出額(1980年・2024年、単位: 米ドル。倍率は計算値)

半導体と電子工業

半導体は、電気を通しやすい物と通しにくい物の、中間の性質をもつ物質です。半導体でつくった集積回路(IC)という部品は、コンピューターなどの頭脳になります。

2024年の統計で、韓国の輸出品の1位は、この集積回路です。

順位(2024年)

品目

輸出額

輸出総額にしめる割合

1位

集積回路

1,201.89億ドル

17.6%

2位

乗用車

683.24億ドル

10.0%

3位

石油製品

495.22億ドル

7.2%

出典: 国連 Comtrade(国連の貿易統計データベース)韓国の輸出額(2024年、単位: 米ドル。割合は輸出総額 6,831.27億ドルに対する割合で、計算値。品目は貿易統計の分け方による)

集積回路だけで、輸出額の約2割です。韓国の大きな企業は、半導体やスマートフォンで世界のトップクラスにあります。このように半導体などの電子製品をつくる工業を、電子工業といいます。情報通信機器をつくる「ICT関連産業」という言い方もあります。

いちばんの輸出先は中国とアメリカ

韓国のいちばんの輸出先は、2003年にアメリカから中国にかわりました。2024年の統計では、1位が中国で19.5%、2位がアメリカで18.8%です。この2つの国はほぼ同じくらいなので、「中国とアメリカ」と2つ並べて覚えるのが安全です。

出典: 国連 Comtrade(国連の貿易統計データベース)韓国の相手国別の輸出額(2024年、単位: 米ドル。割合は輸出総額に対する割合で、計算値)

1人あたりの国内総生産で見ると、今の韓国と日本はほぼ同じくらいです。

年

韓国

日本

2022年

34,822ドル

35,548ドル

2023年

35,674ドル

35,215ドル

2024年

36,239ドル

33,797ドル

出典: 世界銀行 World Development Indicators 1人あたり国内総生産(2022〜2024年、単位: 米ドル・名目)

2022年は日本、2023年と2024年は韓国が上で、年によって入れかわっています。どちらかが上と決めつけず、「ほぼ同じくらい」と覚えます。

2韓国の文化と一極集中 ハングル・儒教と首都圏

ハングルは、音を表す文字

韓国で使われている文字が、ハングルです。ハングルは朝鮮独自の文字で、アルファベットと同じく音を表す文字です。母音と子音の記号を組み合わせて、1つの字をつくるのが特徴です。

ここでは、言葉と文字を分けて覚えます。韓国の言葉は韓国語で、それを書く文字がハングルです。

儒教の影響と、日本と似ている所

儒教は、中国の孔子の教えをもとにした考え方です。朝鮮半島や日本にも伝わり、影響を与えました。韓国では、儒教のしきたりで祖先をまつる行事を大切にしたり、年上の人(年長者)を敬ったりする習慣が強く残っています。

箸を使うことや、儒教の影響があることなど、日本と韓国は生活や文化に似ている所が多くあります。

ただし、韓国で信者がいちばん多い宗教はキリスト教で、ほかに仏教などの信者もいます。儒教は、信者もいますが、信仰する宗教というより、ふだんの考え方やしきたりとして残っていると考えます。

食べ物では、白菜などをトウガラシなどで漬けたキムチが有名です。住まいには、床下に煙を通して部屋を暖めるオンドルというしくみもあります。

ソウルと首都圏への一極集中

ソウルは韓国の首都で、ハンガン(漢江)という川の下流にあります。政治・経済・文化・交通の中心です。

経済が成長する中で、地方の農村から都市へ人が移り、ソウルとその周りに人口が集まりました。ソウル・インチョン・キョンギドの3つの地域を首都圏といいます。

出典: 韓国 国家データ処(旧 統計庁)人口住宅総調査(登録センサス)(2017年・2024年、単位: 人・%)

2024年の統計で、首都圏には2631万人、韓国の人口の50.8%が住んでいます。約半分です。2017年の統計では49.6%だったので、半分をこえました。半分なのはソウル市だけではなく、首都圏の3つの地域を合わせた値だという点がテストでよくねらわれます。

このように、人や機能が首都に集まることを、一極集中といいます。ソウルでは土地や住宅の値段が高く、交通の混雑も起きています。ソウルと地方の間には、仕事の機会や収入などの差も生まれました。そこで政府は、工場や大学、国の機関を地方に分けて、人口の集中をおさえようとしてきました。

首都圏、一極集中、地方との差。この3つは、セットで説明できるようにします。

少子化と高齢化

韓国では、生まれる子どもの数がとても少なくなっています。1人の女性が一生に産む子どもの数の平均は、2024年の統計で、韓国が0.75、日本が1.15です。65歳以上の人の割合も、2000年の7.1%から、2024年には19.3%に増えました。少子化と高齢化が、今の韓国の課題のひとつです。

出典: 世界銀行 World Development Indicators 1人の女性が一生に産む子どもの数の平均(2024年、単位: 人)・65歳以上の人の割合(2000年・2024年、単位: %)

3台湾と日本とのつながり 電子・情報機器の輸出と、貿易・観光・文化交流

台湾の工業は、電子・情報機器が中心

台湾も1960年代から、外国の資金を入れて輸出向けの工業を進め、高い経済成長を続けてきました。はじめは繊維や家電などの製品が成長を引っぱり、1970年代からは鉄鋼や造船などの重化学工業が進められました。今は、コンピューターや半導体などの電子・情報機器が輸出の中心です。

品目(2025年)

輸出額

輸出総額にしめる割合

情報通信・AV製品

2,512億ドル

39.2%

電子部品

2,229億ドル

34.8%

2つの合計

4,741億ドル

74.0%

出典: 台湾 財政部統計処 Annual External Trade Report in 2025(2025年、単位: 米ドル。割合は輸出総額 6,407億ドルに対する割合。合計は計算値)

2025年の統計で、パソコンなどの情報通信機器と、半導体などの電子部品を合わせると、台湾の輸出の7割以上になります。台湾も、韓国と同じく電子工業が中心です。

台湾の北部、中心都市のタイペイの周りには、ハイテク産業が集まっています。北部の新竹には、先端技術の工場を集めた団地があります。反対に、南部には重化学工業が集まっています。北部はハイテク、南部は重化学工業という分け方で覚えます。

台湾の人の多くは、中国から移り住んだ人々の子孫です。漢字を使い、儒教の文化も受けつがれています。

日本との貿易 3位・4位は年とセットで

日本にとって、韓国と台湾はとても大事な貿易の相手です。

順位(2024年)

国・地域

日本からの輸出額

輸出総額にしめる割合

1位

アメリカ

21.29兆円

19.9%

2位

中国

18.86兆円

17.6%

3位

韓国

7.03兆円

6.6%

4位

台湾

6.87兆円

6.4%

出典: 財務省 貿易統計「輸出入額の推移(地域(国)別)」日本の国・地域別の輸出額(2024年・2025年、単位: 円。割合は輸出総額に対する割合で、計算値)

2024年の統計で、日本の輸出相手は1位アメリカ、2位中国、3位韓国、4位台湾です。2025年の統計では、台湾が7.91兆円で3位、韓国が6.96兆円で4位に入れかわりました。3位と4位は、何年の統計かとセットで覚えます。

韓国は工業化を進めるときに、機械や部品、素材などを日本から多く買ってきました。韓国の工業の成長は、日本との貿易とも深く結びついています。

日本と台湾の間に正式な外交関係はありませんが、貿易や観光などの民間の交流がとても盛んです。

観光と文化交流

日本に来る外国人旅行者の数を見てみます。

順位(2024年)

国・地域

訪日外客数

1位

韓国

881万7765人

2位

中国

698万1342人

3位

台湾

604万4316人

出典: 日本政府観光局(JNTO)訪日外客数(2024年、単位: 人。割合は総数 3687万0148人に対する割合で、計算値)

2024年の統計で、韓国が1位で全体の23.9%、台湾が3位で16.4%です。2つを合わせると全体の約4割(40.3%)になります。2025年の推計でも、韓国が1位、台湾が3位でした。

文化の面では、韓国のドラマや映画、音楽、料理などが、日本をふくむアジアで人気になりました。この韓国の文化の流行を、韓流といいます。日本でも、韓国のテレビドラマの大ヒットをきっかけに広まりました。

このような、文化を通じた国どうしの結びつきを、文化交流といいます。貿易、観光、文化交流と、韓国・台湾は日本といろいろな面で深く結びついています。

まとめ 輸出向けの工業で成長し、日本と深く結びつく隣国

韓国と台湾は、次のように一本の線でつなげられます。

1970年代ごろから急に工業化した、アジアNIESの国・地域 → 韓国の輸出品の中心は、繊維(軽工業)→ 鉄鋼・造船・自動車(重化学工業)→ 半導体などの電子製品へと変わる → 台湾も、今は電子・情報機器が輸出の中心 → 韓国ではハングル・儒教の文化と、首都圏に人口の約半分が集まる一極集中 → 韓国・台湾は、日本と貿易・観光・文化交流で深く結びつく

統計の順位は年によって変わります。韓国の輸出品の1位は集積回路(2024年)、日本の輸出相手の3位と4位、訪日客の1位と3位は、何年の統計かといっしょに覚えましょう。

まとめの表

国・地域(位置)

産業

押さえること

韓国(朝鮮半島の南部。北緯38度線のあたりから南)

繊維 → 重化学工業 → 半導体などの電子工業

アジアNIESの1つ。2024年の統計で輸出品の1位は集積回路。文字はハングル、儒教の影響が残る。首都圏に人口の約半分(2024年)が集まる一極集中

台湾(中国の南東の沖の島。広さは九州くらい)

電子・情報機器が輸出の中心

アジアNIESの1つ。2025年の統計で情報通信機器と電子部品が輸出の7割以上。北部(中心都市タイペイの周り)はハイテク、南部は重化学工業

日本とのつながり

貿易・観光・文化交流

日本の輸出相手は2024年に韓国3位・台湾4位(2025年は台湾3位・韓国4位)。訪日客は2024年に韓国1位・台湾3位。韓流

用語のまとめ

用語

種類

意味

アジアNIES(新興工業経済地域)

国・地域のまとまり

1970年代ごろから急に工業化し、高い経済成長をとげたアジアの国・地域。韓国・台湾・ホンコン・シンガポールの4つ

重化学工業

工業の種類

鉄鋼・造船・自動車などをつくる工業。韓国では繊維などの軽工業のあとにのびた

半導体

物質

電気を通しやすい物と通しにくい物の、中間の性質をもつ物質。半導体でつくった集積回路(IC)は、コンピューターなどの頭脳になる

電子工業

工業の種類

半導体などの電子製品をつくる工業。今の韓国・台湾の輸出の中心

ハングル

文字

朝鮮独自の、音を表す文字。母音と子音の記号を組み合わせて1字をつくる

儒教

考え方

中国の孔子の教えをもとにした考え方。韓国では祖先や年長者を大切にする習慣として残る

首都圏

地域

韓国では、ソウル・インチョン・キョンギドの3つの地域

一極集中

都市のことがら

人や機能が首都に集まること。韓国では首都圏に人口の約半分が集まる

文化交流

国どうしの結びつき

文化を通じた国どうしの結びつき。韓国のドラマや音楽が日本で人気になる(韓流)のもその1つ

よくある間違い

アジアNIESの4つをまとめて言うときは、「国・地域」といいます。 NIESのEは「経済地域」という意味です。台湾やホンコンをふくむので、4つをまとめるときは「国・地域」と書きます。

タイペイは、台湾の北部にある中心都市です。 台湾は「台湾」と書き、タイペイは「中心都市」と覚えます。

2024年の統計で、人口の約半分が住んでいるのは、ソウル・インチョン・キョンギドを合わせた首都圏です。 ソウル市だけの値ではありません。選択問題では、ソウルと首都圏のどちらを選ぶかがひっかけになります。

韓国で信者がいちばん多い宗教はキリスト教です。 儒教は、信者もいますが、ふだんの考え方やしきたりとして残っているものとして覚えます。

ハングルは文字の名前で、言葉の名前は韓国語です。 ハングルは朝鮮独自の、音を表す文字です。

韓国の工業の移り変わりは、繊維 → 重化学工業 → 半導体などの電子工業の順番で覚えます。 切りかわりの年は資料によって違うので、年より順番が大事です。

2024年の統計で、日本の輸出相手の3位は韓国、4位は台湾です。 2025年の統計では台湾が3位、韓国が4位に入れかわりました。順位は何年の統計かとセットで答えます。

2024年の統計で、韓国のいちばんの輸出先は中国、2位はアメリカです。 2つはほぼ同じくらいなので、「中国とアメリカ」とセットで覚えます。

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アジアNIESや韓国の文化をざっと見たいときはアニメーション編を、統計の見方や一極集中の問題までくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください(動画は準備中です)。

重要語句 アジアNIES、半導体、ハングル、儒教

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