中学社会・地理・世界のさまざまな地域・No.25

ヨーロッパ州の自然環境

動画で学ぶ

動画は準備中です

動画は準備中です。

解説

ヨーロッパは、日本の札幌よりも北に大きな都市がならぶ地域です。それなのに、西側の冬はそれほど寒くなりません。その理由になる北大西洋海流と偏西風、3つの気候、そしてアルプス山脈・フィヨルド・国際河川が、この単元の中心です。

ヨーロッパ州の位置 ユーラシア大陸の西の部分

ヨーロッパ州は、ユーラシア大陸の西の部分にあります。東はウラル山脈でアジアと分かれていて、ウラル山脈より西がヨーロッパです。南は地中海、西は大西洋、北は北極海に面しています。

ヨーロッパは、北緯およそ35度から70度の、緯度の高い所にあります。緯度が高いとは、北極に近いことです。これを高緯度といいます。

地点

緯度

ヘルシンキ(フィンランドの首都)

北緯60.32°

ロンドン(イギリスの首都)

北緯51.47°

パリ(フランスの首都)

北緯48.72°

ニース(フランスの南東部)

北緯43.63°

札幌

北緯43°03.6′

東京

北緯35°41.5′

出典: 気象庁「世界の天候データツール(ClimatView)」地点別データ(ロンドンはヒースロー国際空港、パリはパリ・オルリー空港の値)、気象庁「過去の気象データ検索」地点一覧(札幌・東京)。単位: 度(北緯)

ロンドンやパリは、札幌よりもずっと北にあります。ただ、ヨーロッパの南のはしは北緯35度くらいで、東京と同じくらいの緯度です。北か南かを比べるときは、ヨーロッパ全体ではなく、都市どうしで比べるようにします。

1北大西洋海流と偏西風 緯度が高いのに冬が温暖

ロンドンと東京の冬をくらべる

地点(1991〜2020年の平年値)

1月の平均気温

8月の平均気温

年降水量

ロンドン(ヒースロー国際空港)

5.7℃

18.7℃

633.4mm

東京

5.4℃

26.9℃

1598.2mm

札幌

−3.2℃

22.3℃

1146.1mm

出典: 気象庁「世界の天候データツール(ClimatView)」平年値(ロンドン)、気象庁「過去の気象データ検索」平年値(東京・札幌)。統計期間はどれも 1991〜2020年、単位: ℃・mm。ロンドンの年降水量は月の平年値の合計で、計算値

1991年から2020年の平年値で、1月の平均気温は、ロンドンが5.7℃、東京が5.4℃です。ロンドンは東京よりずっと北にあるのに、1月の気温は東京とほぼ同じです。札幌の−3.2℃とくらべると、9℃ほど暖かくなっています。

夏の8月は、ロンドンが18.7℃、東京が26.9℃で、東京のほうが暑くなります。このように、ヨーロッパの西側は、緯度が高いわりに冬が温暖です。

理由は暖流と風の2つ

1つ目の理由は、北大西洋海流です。北大西洋海流は、大西洋を流れる暖流、つまりあたたかい海の流れです。大西洋を北東へ流れて、イギリスの近くやノルウェーの沖を通り、北極海のほうまで流れています。

2つ目の理由は、偏西風です。偏西風は、中緯度の地域で、1年じゅう西から東へ吹いている風です。

この偏西風が、暖流の北大西洋海流の上を吹きわたってきます。すると、海の上の暖かい空気と湿り気が、ヨーロッパに運ばれてきます。だから、ヨーロッパの西側は、冬もそれほど寒くならないのです。

ノルウェーの北部は北極圏に入りますが、北大西洋海流と偏西風のため、沖の海は冬でもこおりません。

「緯度のわりに冬が温暖なのはなぜか」は、記述問題でよく聞かれます。海流と風の両方を、名前を入れて書けるようにします。

2ヨーロッパの3つの気候 西岸海洋性・地中海性・冷帯

ヨーロッパの気候は、大きく3つに分けて見ます。大西洋や北海に面した西側、南の地中海のまわり、それから東ヨーロッパや北のほうです。

西側は西岸海洋性気候

地点(1991〜2020年の平年値)

1月の平均気温

8月の平均気温

月の降水量

年降水量

ロンドン(ヒースロー国際空港)

5.7℃

18.7℃

41.7〜69.3mm

633.4mm

パリ(パリ・オルリー空港)

4.6℃

20.1℃

41.4〜62.3mm

622.8mm

出典: 気象庁「世界の天候データツール(ClimatView)」平年値(統計期間 1991〜2020年、単位: ℃・mm。年降水量は月の平年値の合計で、計算値)

ロンドンとパリの雨温図を見ると、降水量の棒の高さが毎月だいたい同じです。1991年から2020年の平年値で、どちらも毎月40mmから70mmくらいです。

夏はすずしく、冬もおだやかで、雨が1年を通して同じくらい降る気候を、西岸海洋性気候といいます。大陸の西の岸に見られる気候で、暖流や偏西風などの影響でこうなっています。

1年間の降水量の平年値は、ロンドンもパリも、東京の半分もありません。

地中海のまわりは地中海性気候

ニース(1991〜2020年の平年値)

7月

8月

10月

11月

年

降水量

13.6mm

17.2mm

126.1mm

138.3mm

784.4mm

平均気温

24.2℃

24.5℃

17.1℃

12.6℃

—

出典: 気象庁「世界の天候データツール(ClimatView)」平年値(統計期間 1991〜2020年、単位: mm・℃。年降水量は月の平年値の合計で、計算値)

ニースは、フランスの南東部、地中海に面した町です。1991年から2020年の平年値で、7月と8月の降水量は、どちらも20mmより少なくなっています。夏は雨がとても少なく、10月と11月が特に多くて、秋から冬にかけて雨が多くなります。1月の平均気温は8.7℃です。

夏は暑くて雨が少なく、冬はおだやかで雨が多い気候を、地中海性気候といいます。地中海のまわりに典型的に見られるので、この名前がついています。

少ないのは夏の雨です。1年間の降水量の平年値で見ると、ニースはロンドンより多くなっています。また、気候の名前は「地中海性気候」、農業の名前は「地中海式農業」です。農業のほうはヨーロッパの農業の単元で出てくるので、「性」と「式」を区別しておきます。

東ヨーロッパなどは冷帯(亜寒帯)

ヘルシンキ(1991〜2020年の平年値)

12月

1月

2月

3月

平均気温

−1.9℃

−4.3℃

−4.8℃

−1.4℃

出典: 気象庁「世界の天候データツール(ClimatView)」平年値(統計期間 1991〜2020年、単位: ℃)

フィンランドの首都ヘルシンキでは、1991年から2020年の平年値で、12月から3月まで平均気温が0℃より低い月が続きます。

温帯と寒帯の間にあって、冬の寒さがとてもきびしい気候帯を、冷帯といいます。教科書によっては亜寒帯と書かれています。ヨーロッパでは、東ヨーロッパや、ヘルシンキなどがこの気候です。西側は温暖でも、東ヨーロッパなどでは冬がきびしいことも合わせて覚えます。

3アルプス山脈・フィヨルド・国際河川 ヨーロッパの地形

南に山脈、北に平原

ヨーロッパの南のほうには、高くてけわしい山脈がつらなっています。フランスとスペインの国境になっているピレネー山脈、アルプス山脈、それからアルプス山脈の東のカルパティア山脈などです。山脈の北の、大陸のまん中には、東西に広い平原が広がっています。3つの山脈を結んだ線の北は平原、南は山がち、というイメージです。

中でも大事なのがアルプス山脈です。スイス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリアなどにまたがる大きな山脈で、東西に長くのびています。気候の境目にもなっています。

ノルウェーの海岸のフィヨルド

ヨーロッパの北には、スカンジナビア半島という大きな半島があり、ノルウェーやスウェーデンがあります。教科書によっては、スカンディナビア半島と書かれています。その西側のノルウェーの海岸に、フィヨルドが見られます。

フィヨルドを知るには、まず氷河です。氷河は、地上に積もった雪が厚い氷のかたまりになり、ゆっくり流れ動くものです。この氷河が谷をけずって、U字の形の谷ができます。

その谷に海水が入りこんでできた、せまくて深い湾を、フィヨルドといいます。細長い入り江になっています。谷をけずったのは氷河、というところが大事です。

国際河川のライン川とドナウ川

いくつもの国を流れたり、国と国の境になったりしている川で、条約によって外国の船も自由に通れる川を、国際河川といいます。「いくつもの国を流れる川」だけでは説明が足りません。条約で外国の船も自由に通れる、まで書けるようにします。

代表的な国際河川が、ライン川とドナウ川です。

ライン川は、スイスのアルプスから流れ出て、ドイツやフランスの国境を流れ、ドイツ西部やオランダを通って北海に注ぎます。ドナウ川は、ドイツ南部から東へ流れ、ウィーンやブダペストなどの都市を通って、黒海に注ぎます。ライン川は北海、ドナウ川は黒海と、注ぐ海をセットで覚えます。

ヨーロッパの川は、流れがゆるやかなものが多く、運河でつながっています。船で行き来できる、大きな水の道になっているのです。ライン川の水運は、ヨーロッパの工業の単元でも出てきます。

まとめ 高緯度なのに西側は温暖、気候は3つ、南に山脈・北にフィヨルド

ヨーロッパ州の自然環境は、次のように一本の線でつなげられます。

ユーラシア大陸の西の部分で、ロンドンやパリは札幌より北の高緯度 → それでも1月の平均気温(平年値)はロンドンと東京がほぼ同じ → 暖流の北大西洋海流の上を偏西風が吹きわたり、暖かい空気と湿り気を運ぶから → 気候は、西側が西岸海洋性気候、地中海のまわりが地中海性気候、東ヨーロッパなどが冷帯(亜寒帯) → 南にアルプス山脈などの山脈、北のノルウェーの海岸にフィヨルド → ライン川・ドナウ川は条約で外国の船も通れる国際河川

冬が温暖な理由は「海流と風」の2つ、気候は雨温図の形、地形は場所といっしょに覚えましょう。

まとめの表

地域・場所

何があるか

押さえること

西側(大西洋・北海に面した所)

西岸海洋性気候(ロンドン・パリ)

緯度が高いわりに冬が温暖。雨は1年を通して同じくらい。年降水量の平年値は東京の半分もない

大西洋

北大西洋海流と偏西風

暖流の上を偏西風が吹きわたり、暖かい空気と湿り気をヨーロッパに運ぶ

南の地中海のまわり

地中海性気候(ニース)

夏は暑くて雨が少なく、冬はおだやかで雨が多い

東ヨーロッパなど

冷帯(亜寒帯)(ヘルシンキ)

冬の寒さがきびしい。ヘルシンキは12〜3月の平均気温が0℃未満(平年値)

南の部分

アルプス山脈・ピレネー山脈・カルパティア山脈

山脈の北は平原、南は山がち。アルプス山脈は東西に長く、気候の境目

ノルウェーの海岸(スカンジナビア半島の西側)

フィヨルド

氷河がけずった谷に海水が入りこんだ、せまくて深い湾

ライン川・ドナウ川

国際河川

ライン川はスイスのアルプスから北海へ、ドナウ川はドイツ南部から東へ流れて黒海へ

用語のまとめ

用語

種類

意味

高緯度

位置

緯度が高いこと。北極や南極に近いこと

暖流

海流

あたたかい海の流れ

北大西洋海流

海流

大西洋を北東へ流れ、イギリスの近くやノルウェーの沖を通って北極海のほうへ向かう暖流

偏西風

風

中緯度の地域で、1年じゅう西から東へ吹いている風

西岸海洋性気候

気候

大陸の西の岸に見られる、夏はすずしく冬もおだやかで、雨が1年を通して同じくらい降る気候

地中海性気候

気候

夏は暑くて雨が少なく、冬はおだやかで雨が多い気候。地中海のまわりに典型的に見られる

冷帯(亜寒帯)

気候帯

温帯と寒帯の間にあって、冬の寒さがとてもきびしい気候帯

アルプス山脈

山脈

スイス・フランス・ドイツ・イタリア・オーストリアなどにまたがる大山脈。気候の境目にもなる

氷河

地形をつくるもの

地上に積もった雪が厚い氷のかたまりになり、ゆっくり流れ動くもの

フィヨルド

地形

氷河がけずってできた谷に海水が入りこんだ、せまくて深い湾

国際河川

川

いくつもの国を流れたり国境になったりしている川で、条約によって外国の船も自由に通れる川

ライン川

川

スイスのアルプスから流れ出て、ドイツ西部やオランダを通り、北海に注ぐ国際河川

ドナウ川

川

ドイツ南部から東へ流れ、ウィーンやブダペストなどを通って黒海に注ぐ国際河川

よくある間違い

ヨーロッパの西側の冬が温暖なのは、暖流の北大西洋海流の上を偏西風が吹きわたり、暖かい空気と湿り気を運んでくるからです。 理由は海流と風の2つで、記述では両方の名前を書きます。

ロンドンと東京は、1月の平均気温(1991〜2020年の平年値)がほぼ同じです。 ロンドンは5.7℃、東京は5.4℃です。夏の8月は東京のほうが暑くなります。

南北をくらべるときは、ロンドンやパリと札幌のように、都市どうしでくらべます。 ヨーロッパの南のはしは、東京と同じくらいの緯度です。

温暖なのは西側で、東ヨーロッパなどは冬の寒さがきびしい冷帯(亜寒帯)です。 ヨーロッパの気候は、西岸海洋性気候・地中海性気候・冷帯の3つに分けて見ます。

地中海性気候で雨が少ないのは夏です。 秋から冬にかけて雨が多くなります。気候は「地中海性気候」、農業は「地中海式農業」と書き分けます。

フィヨルドは、氷河がけずってできた谷に海水が入りこんだ湾です。 場所はノルウェーの海岸です。

国際河川は、いくつもの国を流れたり国境になったりしていて、条約で外国の船も自由に通れる川です。 「条約で外国の船も自由に」まで書いて、はじめて答えになります。

プリントと動画で確認しよう

このテーマの単語テストと問題集は、下のボタンからダウンロードできます。どちらも答えと解説がついています。

北大西洋海流と偏西風、3つの気候、ヨーロッパの地形をざっと見たいときはアニメーション編を、雨温図の読み取りまでくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください(動画は準備中です)。

重要語句 北大西洋海流、アルプス山脈、フィヨルド、国際河川

プリント(PDF)

ショート動画

ショート動画は準備中です。

「世界のさまざまな地域」のテーマ一覧にもどる