中学社会・地理・世界のさまざまな地域・No.32

アフリカの産業とモノカルチャー経済

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解説

アフリカ州の国々は、カカオや原油、銅、ダイヤモンドなどを世界に輸出しています。どの国で何がとれるのか、なぜそうなったのか、そしてその形にはどんな弱点があるのか。この3つが、この単元の中心です。

アフリカの産業 少ない種類の産物を輸出する国が多い

前の単元では、アフリカ州の自然や歴史を見ました。この単元のテーマは、アフリカ州の産業です。

アフリカでは、少ない種類の作物や鉱産資源を外国に売ることにたよっている国が多くあります。この形を、あとで出てくるモノカルチャー経済といいます。まずは作物のカカオから、次に鉱産資源へと、国と産物を地図の上で結びつけていきましょう。

1カカオとプランテーション ギニア湾のコートジボワールとガーナ

カカオは赤道に近い熱帯で育つ

カカオは、チョコレートやココアの原料になる植物です。実の中の種をカカオ豆といい、このカカオ豆からチョコレートやココアがつくられます。

カカオは、もとは中南米の植物です。それが今では、アフリカなど、赤道に近い熱帯の各地でつくられています。

カカオの産地のひとつ、コートジボワールのアビジャンの気候を見てみます。どの月も平均気温が24℃より高く、1年中暑い所です。雨は6月がいちばん多く、1年間にたくさん降ります。ただし1月・2月・8月は雨が少なめで、雨の多い季節と少ない季節があります。

アビジャン(コートジボワール)

値

年平均気温

27.0℃

いちばん暑い月・涼しい月の平均気温

3月・4月 28.4℃/8月 24.6℃

年降水量

1750.1mm

いちばん雨の多い月

6月 411.5mm

出典: 気象庁 世界の天候データツール(ClimatView)アビジャンの平年値(統計期間 1991〜2020年。年平均気温と年降水量は月の値から計算した値)

1年中暑くて、雨もたくさん降る。カカオは、こういう熱帯の土地で育ちます。

カカオの国は、ギニア湾のコートジボワールとガーナ

アフリカ大陸の西側には、大西洋の大きな湾、ギニア湾があります。このギニア湾に面した西アフリカの国が、コートジボワールとガーナです。コートジボワールは、ガーナの西どなりの国です。

この2つの国は、カカオの生産がとても多い国です。カカオといえば、ギニア湾に面したコートジボワールとガーナ。教科書でもテストでも定番の組み合わせなので、セットで覚えます。

順位(2023年)

国

カカオ豆の生産量

世界にしめる割合

1位

コートジボワール

182万2441t

35.6%

2位

ガーナ

65万3700t

12.8%

3位

インドネシア

63万2117t

12.3%

出典: FAOSTAT(国連食糧農業機関の統計データベース)カカオ豆の生産量(2023年、単位: t。割合は世界の合計に対する割合で、計算値)

2023年の統計で、カカオ豆の生産は1位がコートジボワール、2位がガーナです。アフリカの国を合わせると、世界のカカオ豆のおよそ3分の2(65.3%)になります。

ただし、統計の順位は年によって変わります。2024年の統計では、2位がインドネシア、3位がガーナでした(ガーナの値は推定の値です)。順位を答えるときは、何年の統計かを必ず見てください。

出典: FAOSTAT(国連食糧農業機関の統計データベース)カカオ豆の生産量(2024年、単位: t)

ガーナはカカオの国、今の輸出の1位は金

ガーナは、独立したころから1970年代の前半まで、カカオの生産が世界最大の国でした。カカオにたよる経済の、代表のような国だったのです。

今のガーナの輸出を見ると、いちばん多いのは金です。2023年の統計で、ガーナの輸出額のうち、金は45.3%、原油は23.6%、カカオ豆・カカオ製品は11.3%でした。

出典: UN Comtrade(国連の貿易統計データベース)ガーナの輸出額(2023年、単位: 百万ドル。割合は輸出総額に対する割合で、計算値)

「ガーナはカカオの国」と覚えるのは大事です。そのうえで、2023年の統計では輸出の1位は金だということも、年とセットで知っておきましょう。

プランテーションと商品作物

もとは中南米の植物のカカオが、なぜアフリカでこんなにつくられているのでしょうか。始まりは、植民地の時代です。

ヨーロッパの国は、ヨーロッパの気候では育てるのがむずかしい作物を、熱帯の植民地でつくらせました。このときに開かれた大農園を、プランテーションといいます。プランテーションは、安い働き手を使って、世界に売るための作物を1種類だけ大量に作る大農園です。

プランテーションでつくられるのは、カカオやコーヒー、茶、天然ゴム、バナナなどの熱帯の作物です。カカオは、自分たちで食べるためではなく、先進国を中心とした外国に輸出するためにつくられています。このように売るためにつくる作物を、商品作物といいます。

アフリカの国々が独立したあとも、この輸出用の作物にたよる形は残りました。このことが、経済の自立をむずかしくしています。

ケニアの茶、エチオピアのコーヒー

カカオのほかにも、輸出のための作物があります。

アフリカの東部、赤道の真下にあるケニアでは、茶や切り花が多くつくられ、輸出されています。ケニアの茶の生産は、2023年の統計で中国、インドに次いで世界3位です。

エチオピアは、コーヒーの原産地として知られる国です。コーヒーが主な輸出品で、2023年の統計で、アフリカでいちばんコーヒーをつくっている国です。

出典: FAOSTAT(国連食糧農業機関の統計データベース)茶(生葉)・コーヒー豆(生豆)の生産量(2023年、単位: t)

2鉱産資源とレアメタル 国と資源を地図で結ぶ

国ごとの鉱産資源

アフリカは、銅や原油、ダイヤモンド、金などの鉱産資源にもめぐまれています。国と資源の組み合わせは、地図の位置といっしょに覚えます。

ナイジェリア ギニア湾に面した西アフリカの国です。原油(石油)の産出国で、2024年には原油の生産量がアフリカで1位でした。天然ガスもとれます。

ザンビア アフリカの南部にある、海に面していない国(内陸国)です。銅の産地で、輸出の多くを銅にたよっています。

ボツワナ ザンビアと同じく、アフリカ南部の内陸国です。ダイヤモンドの産地で、輸出の多くがダイヤモンドです。宝石用のダイヤモンドは、2024年の統計で世界のおよそ半分がアフリカの国でとれていて、ボツワナはその代表です。

南アフリカ共和国 アフリカ大陸の南のはしにある国です。金やダイヤモンド、プラチナなどの鉱産資源が豊かです。金は、ギニア湾のガーナでもとれます。

出典: USGS(アメリカ地質調査所)Mineral Commodity Summaries 2026 宝石用の天然ダイヤモンドの鉱山生産量(2024年、単位: 千カラット。アフリカの割合は表にあるアフリカの国の合計から計算した値)

レアメタル とれる量が少ない金属

レアメタルとは、とれる量が少なかったり、技術的に取り出すのがむずかしかったりする金属のことです。日本語では希少金属といいます。例として覚えておきたいのが、コバルトとプラチナ(白金)です。

レアメタルは、携帯電話やコンピューターなどの電子機器に欠かせない金属です。とれる場所がアフリカなどにかたよっているため、世界で取り合いになっています。

レアメタル

おもにとれる国

世界にしめる割合(2024年)

コバルト

コンゴ民主共和国

74.8%(およそ4分の3)

プラチナ

南アフリカ共和国

70.4%(約7割)

出典: USGS(アメリカ地質調査所)Mineral Commodity Summaries 2026 コバルト・白金族金属の鉱山生産量(2024年、単位: コバルトは t、プラチナは kg。割合は世界の合計に対する割合で、計算値)

コンゴ民主共和国は、アフリカのまん中で赤道にまたがる国です。となりにはコンゴ共和国という別の国があるので、国の名前はまちがえないようにしましょう。

3モノカルチャー経済 少ない種類の産物の輸出にたよる経済

輸出の中身を見てみる

国ごとに、何をどれだけ輸出しているのかを見てみます。

国

輸出額でいちばん多い品目

輸出総額にしめる割合(2023年)

ナイジェリア

原油

80.6%(約8割)

ボツワナ

ダイヤモンド

78.8%(約8割)

ザンビア

銅(銅と銅製品)

64.5%(6割以上)

出典: UN Comtrade(国連の貿易統計データベース)各国の輸出額(2023年、単位: 百万ドル。割合は輸出総額に対する割合で、計算値。ザンビアは銅と銅製品の合計)

ナイジェリアとボツワナは、輸出額の約8割を1つの品目がしめています。ザンビアも、6割以上が銅です。コートジボワールも、2023年の統計で、輸出品の1位はカカオ豆です。

モノカルチャー経済とは

このように、国の産業が、1つか2〜3の農産物や鉱産資源を輸出するための生産にかたよっている経済を、モノカルチャー経済といいます。少ない種類の産物を外国に売ることにたよっている経済、と言いかえることもできます。

モノカルチャーという言葉は、もとは1種類の作物だけを作ること(単作)という意味です。そこから、少ない種類の産物の輸出にたよる国の経済をさすようになりました。そのため、作物の国だけでなく、原油や銅、ダイヤモンドの輸出にたよる国も、モノカルチャー経済に入ります。

なぜモノカルチャー経済になったのか

モノカルチャー経済のもとは、植民地の時代です。植民地は、ヨーロッパの国に必要な原料や食料をつくる場所にされ、少ない種類の作物や鉱産資源の生産を、中心にさせられたのです。

プランテーションと同じように、植民地時代の形が、独立したあとも残っています。

弱点① 価格変動

モノカルチャー経済には、大きく2つの弱点があります。

1つ目は、値段の上がり下がり、つまり価格変動です。作物や鉱産資源の値段は大きく上がり下がりし、買う国の景気にも左右されます。売る物が少ない種類にかたよっていると、値段が変わるたびに、輸出で入ってくるお金が安定しません。

カカオの国際価格(1年の平均)を見てみます。

年

カカオの国際価格(1kgあたり・年平均)

2000年

0.91ドル

2023年

3.28ドル

2024年

7.33ドル

出典: World Bank Commodity Price Data(Pink Sheet)Annual Prices(名目)カカオ(1980〜2025年の年平均から抜き出し、単位: ドル/kg)

2000年に1kgあたり0.91ドルだった値段が、2024年には7.33ドルになっています。2023年から2024年の1年でも、2倍以上に上がりました。こんなに大きく変わると、輸出で入ってくるお金も安定しません。

銅の国のザンビアは、1970年代の後半から銅の値段が低い時期が続き、経済がとても苦しくなりました。反対に、2000年以降は銅の値段が上がって、経済が成長しました。銅の値段しだいで、国の経済が上下してしまうのです。

弱点② 天気や災害

2つ目の弱点は、天気や災害です。天気や災害で作物がとれなくなると、ほかに輸出できる物がなくなってしまいます。1つの産物にたよっているので、それがだめになると、国の収入がへってしまいます。

抜け出すために いろいろな産業を育てる

モノカルチャー経済から抜け出すには、値段の上がり下がりをやわらげ、いろいろな産業を育てることが必要です。たとえば、ボツワナはダイヤモンドに、ザンビアは銅にたよりすぎないように、ほかの産業を育てようとしてきました。

具体的にどんな取り組みが行われているのかは、次の単元「アフリカの発展に向けた取り組み」でくわしく学びます。

まとめ 植民地時代の形が、今の輸出のかたよりに

アフリカの産業は、次のように一本の線でつなげられます。

植民地時代、植民地はヨーロッパの国に必要な原料や食料をつくる場所にされ、熱帯ではプランテーションも開かれる → 少ない種類の作物や鉱産資源の生産が中心になる → 独立したあとも、その形が残る → 国の輸出が少ない種類の農産物や鉱産資源にかたよる(モノカルチャー経済) → 価格変動や天気・災害で、国の収入が安定しない → いろいろな産業を育てることが課題

カカオはギニア湾のコートジボワールとガーナ(2023年の統計で生産1位・2位)、原油はナイジェリア、銅はザンビア、ダイヤモンドはボツワナ、金とプラチナは南アフリカ共和国。国と産物を地図の位置で結びつけ、統計は何年の値かといっしょに覚えましょう。

まとめの表

国(位置)

主な産物

押さえること

コートジボワール(ギニア湾に面した西アフリカ。ガーナの西どなり)

カカオ

2023年の統計でカカオ豆の生産が世界1位。輸出品の1位もカカオ豆

ガーナ(ギニア湾に面した西アフリカ)

カカオ・金

2023年の統計でカカオ豆の生産が世界2位(2024年の統計ではインドネシアが2位、ガーナが3位)。輸出額の1位は金(2023年)

ナイジェリア(ギニア湾に面した西アフリカ)

原油(石油)・天然ガス

輸出額の約8割が原油(2023年)

ザンビア(アフリカ南部の内陸国)

銅

輸出額の6割以上が銅(2023年)。銅の値段で経済が上下する

ボツワナ(アフリカ南部の内陸国)

ダイヤモンド

輸出額の約8割がダイヤモンド(2023年)

南アフリカ共和国(アフリカ大陸の南のはし)

金・ダイヤモンド・プラチナ

プラチナの約7割がこの国でとれる(2024年)

コンゴ民主共和国(アフリカのまん中・赤道にまたがる)

コバルト

コバルトのおよそ4分の3がこの国でとれる(2024年)

ケニア(アフリカの東部・赤道の真下)

茶・切り花

茶の生産は世界3位(2023年)

エチオピア

コーヒー

コーヒーの原産地。コーヒーが主な輸出品

用語のまとめ

用語

種類

意味

カカオ

作物

チョコレートやココアの原料になる、赤道に近い熱帯で育つ植物。実の中の種をカカオ豆という。もとは中南米の植物

ギニア湾

湾

アフリカ大陸の西側にある、大西洋の大きな湾。コートジボワール・ガーナ・ナイジェリアが面している

プランテーション

大農園

植民地時代に熱帯の植民地で開かれた、安い働き手を使って、世界に売るための作物を1種類だけ大量に作る大農園

商品作物

作物

自分たちで食べるためではなく、売るためにつくる作物

鉱産資源

資源

銅・原油・ダイヤモンド・金など。アフリカは鉱産資源にめぐまれている

レアメタル(希少金属)

金属

とれる量が少なかったり、技術的に取り出すのがむずかしかったりする金属。コバルト・プラチナなど。携帯電話やコンピューターに欠かせない

モノカルチャー経済

経済のしくみ

国の輸出が、少ない種類の農産物や鉱産資源にかたよっている経済。もとの意味は、1種類の作物だけを作ること(単作)

価格変動

経済のことがら

作物や鉱産資源の値段が、大きく上がったり下がったりすること。モノカルチャー経済の国では、国の収入が安定しない原因になる

よくある間違い

2023年の統計で、カカオ豆の生産の1位はコートジボワール、2位はガーナです。 ガーナがカカオの生産で世界最大だったのは、独立したころから1970年代の前半までです。2024年の統計ではガーナは3位(推定の値)なので、順位は何年の統計かとセットで覚えます。

ガーナの輸出でいちばん多いのは、2023年の統計では金です。 「カカオの国」という覚え方は大事です。そのうえで、今の輸出の1位は金だということを、2023年の統計とセットで覚えます。

カカオは、もとは中南米の植物です。 植民地時代に、ヨーロッパの国が熱帯の植民地でつくらせたことで、アフリカで多くつくられるようになりました。

カカオなどの商品作物は、自分たちで食べるためではなく、外国に輸出するためにつくられています。 記述問題では「先進国を中心とした外国に輸出するため」と、だれに売るのかまで書けるようにします。

レアメタルの例として覚えるのは、コバルトやプラチナです。 金やダイヤモンドは、アフリカでとれる鉱産資源ですが、レアメタルの例としては挙げません。

2024年の統計で、コバルトのおよそ4分の3がとれるのはコンゴ民主共和国です。 となりのコンゴ共和国は別の国なので、「民主」まで正しく書きます。

モノカルチャーのもとの意味は1種類の作物だけを作ることですが、モノカルチャー経済は、国の輸出が少ない種類の農産物や鉱産資源にかたよる経済のことです。 原油やダイヤモンドの輸出にたよる国も、モノカルチャー経済に入ります。

モノカルチャー経済の弱点は、大きく分けると、価格変動と、天気や災害でとれなくなったときにほかに輸出できる物がないことです。 「値段の上がり下がりで収入が安定しない」と、理由まで説明できるようにします。

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国と産物の組み合わせをざっと見たいときはアニメーション編を、統計の見方やモノカルチャー経済の弱点までくわしく知りたいときは詳細解説編の動画を見てください(動画は準備中です)。

重要語句 カカオ、モノカルチャー経済、レアメタル、プランテーション

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